ホンダは2025年5月20日、取締役社長の三部敏宏氏が主導する2025年ビジネスアップデート説明会を開催し、四輪電動化戦略の軌道修正を発表。EV市場の成長鈍化や通商政策の変化に対応しつつ、次世代先進運転支援システム(ADAS)を中核とした知能化戦略を推進していくことを明らかにしました。
ホンダは、各地域での環境規制の変化によるEV市場拡大スピードの鈍化などを受け、2030年時点のグローバルEV販売比率について、これまで目標としていた30%を下回る見通しを示しました。これに伴い、EVのラインナップや投入時期、カナダでの包括的バリューチェーン構築などの投資時期を含むロードマップを見直しています。
現在、需要が高いハイブリッド車について、2027年以降に投入する次世代モデルを中心に、EV普及までの過渡期を担うパワートレーンとして商品群を強化。この軌道修正によって、2030年の四輪販売台数は、現在の規模である360万台以上、その中核であるハイブリッド車は220万台を目指していくとしています。

ただし、長期的にはカーボンニュートラル実現に向けて「乗用車の領域ではEVが最適解である」との考えに変わりはないとし、これまでの施策は継続されることとなります。
具体的には「Honda 0(ゼロ)シリーズ」を2026年に第1弾投入するほか、CES 2025で発表したASIMO OSやAD/ADASを核とした「超・個人最適化」されたSDV(ソフトウェアデファインドビークル)の開発を進めます。さらに次世代モデル向けには、ルネサスエレクトロニクスと共同で、業界トップクラスのAI性能2000 TOPS(Sparse)を20 TOPS/Wの効率で実現する高性能SoC(システム・オン・チップ)を開発していきます。

ホンダは四輪事業における最大の競争領域として知能化に注力し、その中核となる次世代ADASの独自開発を加速させるとしました。
このシステムは、目的地設定後、一般道から高速道路までの全経路でアクセルやハンドル操作を支援し、交通参加者が多様で複雑な市街地での運転もサポート。自動運転(AD)開発で培った認識技術や行動計画技術を活用したこのシステムは、2027年頃から北米や日本市場で投入予定のEV・ハイブリッド車の主力ラインナップに幅広く適用されます。

中国市場向けには、自動運転技術スタートアップ企業「Momenta(モメンタ)」との共同開発により、中国の道路環境に適した次世代ADASを今後投入する全ての新型車に搭載する計画です。
