日産自動車が6月3日、第3世代となる新型「リーフ」の開発チームを特集したビデオシリーズを公開しました。同社は2010年の初代リーフ発売から15年間で培った技術とデータを新型車に反映させたとしています。

累計280億km走行データを新型に活用
初代リーフから現行モデルまでのグローバル累計販売台数は約70万台で、総走行距離は約280億キロメートルに達しています。日産はこの膨大な実走行データを分析し、バッテリー性能やユーザビリティの改善点を新型リーフの開発に活用したとのこと。
同社グローバル商品企画部門のリチャード・キャンドラー責任者は「EVに関心がない層も含めて内燃機関車からの乗り換えを促進したい」と語り、感性面と実用性の両立を重視したことを明かしました。

Cd値0.25達成、欧州仕様では専用パーツも
新型リーフの開発で最も注力されたのは空力性能の向上。基本仕様では空気抵抗係数(Cd値)0.26を実現し、欧州市場向けには専用設計のホイールとドアミラーを装着することでCd値0.25まで改善しています。
空力改善のため、ドアハンドルのフラッシュ化、可変式グリルシャッター、アンダーフロアの平滑化などを実施。ファストバック形状の採用も空気抵抗低減に寄与しています。

調光ガラスルーフで車高12mm低減
技術面で注目されるのが、オプション設定される調光パノラミックガラスルーフです。プログラムデザインディレクターの田勢信崇氏によると、この技術により従来のサンルーフ構造と比べて車高を12mm低減できたといいます。
エレクトロクロミック技術を使用したこのシステムは、ボタン操作で透明度を調整可能で、赤外線反射コーティングにより車内温度上昇も抑制します。従来必要だったサンシェードが不要となり、後席のヘッドルーム確保にも貢献しています。


CMF-EVプラットフォーム採用で室内を最適化
新型リーフは日産・ルノー・三菱連合のCMF-EVプラットフォームを採用し、フラットなフロアを実現。開放感のある居住性を確保しています。
今回公開されたのは3部構成ビデオシリーズの第1弾で、残り2本も順次公開予定です。新型リーフの正式発表は今月後半に予定されており、価格や詳細スペックは発表時に明らかになる見通しです。
日産は新型リーフを「ハートビートモデル」と位置付け、日産ブランドをより強化する戦略車種として期待を寄せています。初代から培ったEVノウハウを結集した新型車が、EV市場にどのような影響を与えるか注目されます。
