テスラは2025年8月12日、中国において航続距離830km(CLTC基準)を実現した新型モデル3の販売を正式に開始したと発表しました。
今回発表された新型車は、テスラが製造する車両の中で最長の航続距離を実現したモデルとなります。テスラの公式ウェブサイトによると、中国での納車開始は9月を予定とのこと。
かつて「モデル3+」と報道されていた、この新バージョンの販売価格は26万9500人民元(約554万円)から。中国で販売されているモデル3のエントリーモデルの23万5500人民元(約484万円)と比較すると、3万4000人民元(約70万円)高く設定されています。

今回のシングルモーター長距離RWDモデル3の発売により、中国で販売されるモデル3のバリエーションは計4種類となりました。より高価格な他の2つのバリエーション(ロングレンジとパフォーマンス)はデュアルモーターで、それぞれ28万5500人民元(約587万円)、33万9500人民元(約698万円)から販売されています。
テスラは本日、中国のSNSプラットフォーム「微博(Weibo)」において、中国で販売する全4バージョンのモデル3の航続距離アップグレードが完了したことを発表しました。7月1日には、モデル3ロングレンジの価格を28万5500人民元に引き上げるとともに、航続距離を713kmから753kmに延長していました。
最新の長距離RWDモデル3は、0-100km/h加速が5.2秒、最高速度は200km/hとなっています。バッテリー容量は78.4kWhで、これまでの申請書類によると、より高価格な2つのバリエーションと同様にLGエナジーソリューション製の三元系バッテリーを採用。一方、RWDモデル3には、CATL製のリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーが搭載されています。

この新型モデル3バリエーションの発売は、テスラが中国市場において競合他社との競争が熾烈化していることが背景にあります。
中国のEV専門メディアCnEVPost がまとめたデータによると、テスラの中国での1-7月期の車両納車台数は30万4027台となり、前年同期比6.32%減少しました。この減少は主力モデルであるモデルYの販売不振が要因で、1-7月期の中国での販売台数は20万2257台となり、前年同期比17.15%の減少となっています。
一方、モデル3の1-7月期の中国販売台数は10万1770台で、前年同期比26.54%の増加となりました。
売上向上を図るため、テスラは中国でモデル3に対する各種インセンティブを継続して提供しています。これには5年間の無金利ローン、塗装費用8000人民元の割引、保険補助金8000人民元が含まれていますが、最高価格のパフォーマンスモデルは対象外となっています。
今回の新型モデル3バリエーションに加えて、テスラは今秋、中国で6人乗りのモデルY Lを発売予定です。現在中国で販売されているモデルYは5人乗り仕様となっています。テスラからの規制当局への申請書類によると、モデルY Lはバッテリー容量82.0kWh、航続距離751kmとなる予定です。