ベトナムの電気自動車メーカービンファストが、シリコンバレーのテクノロジー企業テンサー(Tensor)と提携し、完全自動運転電気自動車「テンサー・ロボカー(Tensor Robocar)」を開発すると発表しました。2025年9月3日、ベトナムメディアが伝えています。このロボカーEVは、個人向けレベル4自動運転車として2026年に発売予定とのです。実現すれば、世界初のレベル4量販車となります。

従来のライドシェアリングサービス向けとは異なり、個人オーナー向けに設計されたテンサー・ロボカーは、自動車技術者協会の分類でレベル4の自動運転機能を搭載します。これは、ほとんどの条件下で完全自動運転が可能で、例外的な状況でのみ人間の介入を必要とする技術です。現在、レベル4の自動運転を達成し、無人の車両でロボタクシー事業を行っているのは、アメリカのWaymoと中国のバイドゥ(百度)が有名ですが、個人向けに販売されている車両はまだありません。

テンサー・ロボカーには、37台のカメラ、5つのLiDARセンサー、11のレーダーなど、100個を超える高精度センサーが搭載されます。この複雑なセンサーシステムにより、車両は周囲環境を正確に認識し、様々な交通状況に対応できます。さらに、AIプラットフォーム「Tensor Foundation Model」が搭載され、実世界の複雑な交通環境に迅速に反応し、状況を解釈・推論・管理する能力を備えています。
車両は使用時以外にステアリングホイールとペダルを格納でき、広々としたキャビン空間を実現します。また、センサーの自動清掃、故障の自己診断、ソフトウェアの自動更新機能も備え、駐車場などの低信号環境でも接続を維持できる設計となっています。

ただし、発売当初は全ての道路での完全自動運転は難しく、高速道路や主要幹線道路での運用から開始される見込みです。その他の道路では手動運転となる予定で、段階的な展開が計画されています。
ビンファストはベトナム北部ハイフォン市の工場で製造を担当し、ベトナムの自動車メーカーとして初めて高レベル自動運転車の生産を手がけることになります。