テスラが2025年第3四半期に49万7099台のグローバル納車台数を記録し、四半期ベースで過去最高を達成したことを2025年10月2日に発表しました。この数字は、前年同期比7.4%増という水準です。
この背景には、米国におけるEV購入時の連邦税額控除が9月30日に期限切れとなることを見越した駆け込み需要が大きく影響していることが、業界専門家の分析で明らかになっています。
第3四半期の納車台数の大部分を占めたのは、モデル3とモデルYで、この2車種だけで48万1166台(全体の約97%)を記録。一方、モデルS、モデルXなどの高価格帯モデルとサイバートラックを含むその他の車種は、合計で1万5933台にとどまりました。
ウォール街のアナリストは第3四半期の納車台数を47万5000台から48万台程度と予想していたため、実際の結果はこれを上回る形となりました。
テスラの株価は発表後に約1%上昇しましたが、10月2日のNASDAQでは、最終的に5%ほどの下落で取引を終了しています。

投資調査会社ウェドブッシュのダン・アイブス氏は「テスラにとって大規模な回復四半期となった」と評価し、ディープウォーター・マネジメントのジーン・マンスター氏も「アナリスト予想を約2万台上回った」と前向きに評価しました。
一方で、キャンター・フィッツジェラルドのアンドレイ・ヘルマン氏は、納車台数の上昇分のうち約90%以上が税額控除終了前の駆け込み需要によるもので、税額控除による押し上げ効果は約5万7000台に達したと推計しています。
2025年通年で見ると、テスラは第1四半期に33万6681台(前年同期比13%減)、第2四半期に38万4122台(前年同期比13%減)と厳しいスタートでした。第3四半期の記録的な数字は確かに大きな回復を示していますが、この回復が持続可能なものかは今後の推移を見守る必要があります。
業界アナリストの予測によると、テスラの2025年通年の納車台数は約161万台となる見込みで、これは2024年の約179万台から10%減少します。この予測が正しければ、テスラは2011年以来初めて、通年の納車台数が前年を下回ることになります。
年間予測を達成するためには、テスラは第4四半期に少なくとも38万9498台を納車する必要があります。税額控除という追い風がない状況下でこの数字を達成できるかが、テスラの真の競争力を測る指標となるでしょう。