テスラが、中国市場で現行モデルの低価格版の開発を進めていることが分かりました。中国のテック系メディア「36kr」が2025年10月13日、複数の関係者の話として報じました。
テスラ中国は現在、社内コードネーム「E41」および「D50」と呼ばれる2つの新規車両プロジェクトを推進しています。これらはそれぞれ現行の「モデルY」と「モデル3」の簡素化版となります。両プロジェクトの設計および検証報告書の一部は現行モデルのものを流用しており、現在は検証テスト段階に入っているとのことです。複数の情報筋によると、これらの簡素化モデルは2026年半ば以降に中国での生産開始が見込まれています。
テスラの上海工場(ギガシャンハイ)は、主に中国市場と欧州市場向けに製造を行っており、中国での簡素化モデル投入はこれらの市場での低価格車投入に向けた準備と見られています。同社は10月7日、北米市場で「モデル3」と「モデルY」のスタンダード版を発売し、20以上の機能を削減または簡素化することで、販売価格を5000ドルから5500ドル引き下げました。10月10日には「モデルYスタンダード」がノルウェー、ドイツ、スウェーデンのテスラ公式サイトに掲載され、今年11月と12月に正式発売される予定です。

36krは3月の報道で、テスラ中国チームがバッテリー、パワートレイン、シャシーへの変更を最小限に抑えた低価格版「モデルY」の開発を主導していると伝えていました。この開発には「デポップ」と呼ばれる社内戦略が採用され、コア機能を維持しながら構成を簡素化することで迅速な製品投入を可能にするとされています。当時の報道では、1月10日に発売された改良型5人乗り「モデルY」の受注状況次第で、今年後半にも低価格版が投入される可能性があるとされていました。
しかし、テスラはこのモデルをまだ投入していません。代わりに8月19日、中国市場で6人乗りの「モデルYL」を発売し、9月初旬から納車を開始しました。「モデルYL」は消費者から高い支持を得ており、これがテスラが中国市場で簡素化版をまだ投入していない主な理由の一つと見られています。今回、中国での簡素化モデルプロジェクトの再開は、テスラの販売成長に対する懸念の高まりを示していると報じられています。
また、テスラ本社に近い情報筋によると、同社は「モデルY」よりも小型の新モデルを開発する「NV91」および「NV93」プロジェクトの再開も検討しているとのことです。「NV91」プロジェクトは、イーロン・マスクCEOがかつて言及した2万5000ドルの車両を指します。当初2025年8月の量産開始が予定されていましたが、2024年2月に中止されていました。