フィアットは、2024年7月11日、創業125周年を記念して新グローバルモデル「グランデパンダ」を発表しました。トリノのリンゴット工場で開催された記念イベントで披露されたこの新モデルは、フィアットのグローバル市場戦略における重要モデルです。
ジョルジオ・アルマーニとのコラボレーションによる限定モデル「フィアット500eジョルジオ・アルマーニ」と共に発表されたグランデパンダは、1980年代の象徴的なフィアット車「パンダ」からインスピレーションを得たデザイン。この新モデルはBセグメントに属しながらも、全長3.99m、全高1.57m、全幅1.76mというコンパクトなサイズを実現。小型ボディながら、361リットルの広々としたトランク容量を確保し、5人乗りの実用性を兼ね備えています。
純電気自動車(BEV)とハイブリッドの2種類が用意され、BEVモデルは44kWhのバッテリーと83kWのモーターを搭載。WLTP複合サイクルで320km以上の航続距離を実現しています。
その大きな特徴ともいえるグランデパンダの外観を彩るカラーバリエーションには、フィアットの「No Grey」イニシアチブ※の一環として、7色のボディカラーが用意されています。赤、白、黒、緑、茶、青、黄色という鮮やかで多様な色彩は、都市景観に彩りを添えるだけでなく、個性豊かな選択肢をユーザーに提供。これらのボディカラーは、グランデパンダの新しくポジティブなイメージを強調し、同時に現在のフィアットブランドの活気と多様性を表現しているともいえます。
※「No Grey」イニシアチブとは、一般的な自動車に多くみられるグレーや無彩色を避けて、より鮮やかで個性的な色合いを提供するというフィアットの取り組み。これによって顧客の個性を表現し、都市景観をより明るくすることができる。
エクステリアデザインでは、シルバーのスキッドプレート、光沢のあるブラックピラー仕上げ、プライバシーウィンドウ、フィアットロゴ入りの17インチダイヤモンドカットアロイホイールなどが、選択されたボディカラーとコントラストを形成し、グランデパンダの個性を際立たせます。さらに、ドアには3D効果のあるブランドロゴが採用されています。
インテリアでは、スマートな空間活用が随所に見られます。ダッシュボードには合計13リットルもの収納スペースが複数確保され、その最大の収納部分は3リットルの容量を持ち小物や書類などを収納するのに十分な大きさ。これは、1980年代のパンダの「ポケット」ダッシュボードを彷彿とさせます。
また、ダッシュボードやデジタルクラスター、ラジオディスプレイのデザインには、リンゴット工場の屋上トラックをモチーフにした独特の形状が採用されており、フィアットの歴史と未来を融合させた印象的な内装となっています。
グランデパンダの革新的な特徴として、業界初となる統合型スパイラル充電ケーブルが挙げられます。このケーブルはボンネット下に収納され、トランクスペースを節約しつつ、充電の際の取り回しも容易です。最大7kWまでの交流充電に対応し、使用後は簡単に収納できるよう設計されています。
グランデパンダは価格設定も注目です。BEVモデルのベース価格は2万5000ユーロ(約430万円)未満となっていて、電気自動車の普及を後押しする手の届きやすい価格帯となっています。
フィアットのCEOであるオリビエ・フランソワ氏は、「グランデパンダは、フィアットの新しいグローバルファミリーの第一弾です。今後10年間で、すべての顧客に適した製品を提供していきます」とコメントしています。
今まで欧州や南米市場に注力してきたフィアットは、グランデパンダの発表により、グローバルに向けた製品ラインナップへの移行を明確に示したといえます。国際市場でのシェア拡大に向けて投入される、この新モデルは、多様な市場のニーズに応える一台として、フィアットの存在感を高めていきそうです。
FIAT Grande Panda Gallery