台湾の電子機器受託製造大手、フォックスコン(鴻海科技集団)は、日本の自動車メーカーとの提携契約が1〜2カ月以内に締結される見通しであることを明らかにしました。フォックスコン会長の劉揚偉(ヤング・リウ)氏が2025年3月14日に発表した、2024年度通期および第4四半期決算説明会で語ったもので、EVビジネス拡大に向けた重要な一歩となります。
フォックスコンは具体的な日本の自動車メーカー名を明らかにしていませんが、劉会長は「契約締結が1〜2カ月以内に完了する見込み」と述べています。

フォックスコンは「スマート製造」「スマートEV」「スマートシティ」の3つの主要プラットフォームを基盤に事業を展開しており、各プラットフォームは主要コンポーネント、モジュール、システム、ソフトウェアなどの基本的な能力に基づいています。今後はさらに生成AIを導入し、これらのプラットフォームをより強力にしていく方針です。
決算説明会では、2025年後半には北米向けEV「モデルB」および「モデルC」が量産に入る予定であることも明らかにされました。また、EVバス製造工場は第3四半期に認証を完了し、出荷能力を拡大する計画とのことです。これらの動きは、フォックスコンがEV市場への参入を加速させていることを示しています。日本の自動車メーカーとの提携により、同社の技術力と日本の自動車メーカーの知見を組み合わせた新たなEVモデルの開発が期待されます。

フォックスコンの2024年通期の純利益は1527億台湾ドル(約6900億円)に達し、1株当たり利益(EPS)は11.01台湾ドル(49.78 円) と17年ぶりの高水準となりました。同社は1991年の上場以来最高となる1株当たり5.80台湾ドル(26.22 円)の現金配当を配布すると発表しています。劉会長は2025年の事業見通しについて「力強い成長」を予測しており、第1四半期のAIサーバー収益は前年同期比および前四半期比で100%以上の成長が見込まれるとしています。
フォックスコンは2025年を「AIの元年」と位置づけ、AIコンピューティングインフラへの需要が持続し、主要クラウドサービスプロバイダーの設備投資も今年は力強い成長を維持すると予測しています。同社はグローバルなTier-1パートナーと共同で生成AI解決策を開発したり、社内で大規模言語モデルを開発し、3つの主要インテリジェントプラットフォームに導入する計画です。これにより、全体的な運用効率と競争力の向上を図ります。日本の自動車メーカーとの提携は、こうしたAI技術とEV技術の融合を進める上でも重要な役割を果たすと見られています。
