台湾の電子機器受託製造大手フォックスコン(鴻海精密工業)が三菱自動車からオーストラリアとニュージーランド向け電気自動車(EV)の製造を受託することが明らかになりました。通信社のブルームバーグによれば、生産開始時期は未定ですが、EV車両は台湾で製造される予定とのことです。この提携は、フォックスコンのEV事業における初の主要日本メーカーとの契約となります。
フォックスコンは米アップルのiPhoneや家電製品への依存度を減らすため、EV事業の強化を積極的に進めています。劉揚偉(ヤング・リウ)会長は2025年3月14日の決算説明会で、「1〜2カ月以内に日本の自動車メーカーとEVの受託製造契約を結ぶ」と表明していました。今回、その相手の一社が三菱自動車だと判明したわけです。
また、劉会長は2月にも日産自動車やホンダとの協業を模索していると発言しており、三菱自動車との提携が他の日本メーカーにも拡大する可能性が注目されます。
三菱自動車の広報担当者は「同社が発表したものではない」としながらも、「持続的成長に向けて今後もさまざまなパートナーとの協業の可能性を模索していく」と回答しています。
EV開発には多額の費用がかかるため、三菱自動車は現在、EV分野でホンダ、日産自動車との協業を進めていますが、フォックスコンとの提携により生産・開発コストのさらなる抑制につなげたい考えです。この動きを受け、三菱自動車株は3月21日の取引で一時前営業日比4.8%高の465.8円をつけました。
フォックスコンは「スマート製造」「スマートEV」「スマートシティ」の3つの主要プラットフォームを基盤に事業を展開しています。最近の決算説明会では、2025年後半に北米向けEV「モデルB」および「モデルC」が量産開始予定であることも明らかにしました。
これまでの実績としては、台湾国内初のBEV生産となった「モデルC」を自動車メーカー「ラクスジェン」のn7ブランドとして2024年4月に発売しています。このn7は台湾市場で最も売れているEVとなっており、高性能バージョンは0-100km/h加速を3.8秒、航続距離700kmを実現しています。

