イーロン・マスク率いるテスラが、今後数カ月以内に英国の家庭向け電力供給市場に参入することが明らかになったと、英テレグラフ紙が報じています。同社は「テスラエレクトリック(Tesla Electric)」として新サービスを展開、100%再生可能エネルギーによる電力を供給し、家庭の電気料金削減を約束するとしています。
テスラは英国のエネルギー市場で、大手電力会社のオクトパス・エナジーやブリティッシュ・ガスなどの既存業者と競合することになります。テスラエレクトリックは家庭向けの電力供給サービスとして立ち上げられ、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを100%使用することを前面に打ち出す方針です。
テスラはすでに米国で太陽光発電システムや家庭用蓄電池「パワーウォール」の販売を手がけており、ソーラーエネルギー事業で豊富な実績を持っています。同社は2016年にソーラーパネル大手のソーラーシティを買収し、太陽光発電から電力貯蔵まで一貫したエネルギーソリューションを提供してきました。英国では既に数万台のパワーウォールが設置されており、これらの家庭用蓄電システムと電気自動車を統合した「バーチャル・パワープラント(仮想発電所)」を構築する計画です。この仕組みにより、各家庭で太陽光発電した余剰電力を電力網に戻し、エネルギーの安定供給に貢献するとしています。

英国では近年、エネルギー市場の自由化が進み、多数の新規参入者が競争を繰り広げています。現在、英国の電力供給の約43%が風力や太陽光などの再生可能エネルギーによるもので、テスラはこうした既存のグリーンエネルギーインフラも活用する予定です。
テスラのエネルギー市場参入は、電気自動車から家庭のエネルギー供給まで一貫したサービスを提供する戦略の一環で、英国の消費者に新たな選択肢を提供することになりそうです。