テスラが、アリゾナ州交通局から自動運転車両の公道テスト許可を正式に取得したことが、2025年9月20日に明らかになりました。同社はセーフティドライバー付きでのテスト実施が可能となり、アリゾナ州で自動運転車両のテストを行っている企業群に新たに加わることになります。
アリゾナ州交通局の自動車部門によると、テスラは自動運転車両のテスト実施に関する自己認証書を提出し、同局がこれを承認したとのことです。今回の許可は、安全運転手が同乗する条件でのテスト実施を認めるもので、将来的にライドシェアサービスや無人タクシーサービスを展開する場合には、別途異なる許可の取得が必要になります。
アリゾナ州は、自動運転車両の開発と実用化において全米でも先進的な取り組みを続けています。2015年にダグ・ドゥーシー州知事が自動運転車両と接続車両技術の安全な開発とテストのプロセスを定めた行政命令2015-09号に署名したことを皮切りに、同州は一貫して自動運転技術の推進を支援してきました。その後、2017年にはトラック隊列走行技術の実証を可能にする法案が可決され、2018年には技術の進歩とテストの進展を反映した新たな行政命令2018-04号が発令されました。
さらに2021年には、これまでの行政命令の内容を州法として成文化する法案2813号が可決され、自動運転車両に関する法的基盤がより強固なものとなりました。同州交通局によると、自動運転車両は「世界的に新興技術であり、その多くのテストと商用展開がアリゾナ州で行われている」と説明されています。

テスラを含め、アリゾナ州で自動運転車両のテストや運用を行う企業は、すべての連邦法、規制、ガイドライン、アリゾナ州法、アリゾナ改正法第28編、およびアリゾナ州交通局が定めるすべての規制と政策に従うことが義務付けられています。同州交通局の公式サイトには、既に複数の企業が自動運転車両のテストを実施していることが記載されており、テスラはこれらの企業に続く形で同州でのテスト活動を開始することになります。
今回のアリゾナ州での許可取得は、テスラの自動運転技術「FSD(Full Self-Driving)」の開発と実用化に向けた重要な一歩となります。テスラは既に複数の州で自動運転車両の展開を進めており、2025年6月にはテキサス州オースティンでロボタクシーサービスの運営を開始しました。同州では安全監視員が助手席に同乗し、高速道路走行時には運転席に移動する方式を採用しています。
続いて7月にはカリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアでもサービスを開始しましたが、同州の規制により安全運転手が常に運転席に同乗することが義務付けられています。9月にはネバダ州でも公道テスト許可を取得し、今回のアリゾナ州で4州目の許可取得となりました。
イーロン・マスクCEOは7月の決算説明会で、「ベイエリア、ネバダ州、アリゾナ州、フロリダ州など複数の地域で規制当局からの許可を得ている」と発言しており、2025年末までに米国人口の約半分にロボタクシーサービスを提供することを目標に掲げています。アリゾナ州での実証実験により、より多様な道路環境や気候条件下でのデータ収集と技術検証が可能になると期待されます。