東京ビッグサイトで「ジャパンモビリティショー2025」が開幕しました。2025年10月31日から11月9日までの11日間にわたって開催される同イベントには、自動車メーカーをはじめとした様々な業界から過去最多となる500社以上が参加しています。会場内には、数々の最先端EVモデルが展示され世界のモビリティシーンのトレンドを体感することができます。
EVcafeでは、同イベントでチェックをしておきたい最注目のEVモデルを前後編に分けて紹介。後編では国内外大手メーカーの展示モデルを中心に解説していきます。

トヨタ
本年度のジャパンモビリティショーで、最も動向が注目されていた国内メーカーがトヨタです。10月13日に、トヨタ、レクサス、センチュリー、GR、ダイハツを5つのブランドに再構築することを発表した同社。ジャパンモビリティショーでは、GRを除くトヨタグループの4ブランドが会場南棟一階全体を使う形で出展を行いました。
今回のイベントで特徴的だったのは、トヨタとレクサス、センチュリーなどのブースに展示されたコンセプトカーが、それぞれのパワートレインを提示していないこと。
その最も象徴的なモデルがカローラコンセプトです。10月29日に開催されたプレスデーのスピーチで佐藤恒治社長が語った「動力がなんであれ、みんなが乗りたくなるかっこいいクルマにしよう!」との目標通り、同モデルは、「一つのプラットフォームでBEV、PHEV、ハイブリッド、ガソリンエンジン、全ての動力源の車を作ることができる」というコンセプト。

「マックスビジョン」「マックススペース」がキーワードでエンジンルームはコンパクトに、インパネやキャラクターラインも低く設定、広い視界・室内空間が確保されています。また、このコンセプトカーには、4つの動力源に対応できるように、両サイドの前方に一つずつの充電口と、右サイド後方にガソリンの給油口が設置されています。




トヨタの広報担当者の話では「カローラのコンセプトは、あくまで全てのユーザーの要望に対応できるということ。市場の反応次第ではBEVが作られない可能性もあります」とのこと。ただこれは、市場の反応次第では、トヨタブランドエリアの他のコンセプトモデルにもBEV展開の可能性があるともいえます。
会場に展示された新型ハイエースコンセプトの、低くフラットなフロアと広い室内空間を見てみると、「これらの次世代モデルのパワートレーンには、やはりバッテリーが想定されているのでは?」との期待も膨らんでしまいます。

レクサス
10月13日のトヨタのブランド再構築によって、センチュリーがトヨタから別ブランドとして独立し、同グループのフラッグシップモデルとなったことで、より自由な表現が可能となったブランドがレクサスです。
ジャパンモビリティショーで、その成果とされているコンセプトモデルが「LSコンセプト」という6輪タイヤのパッケージ。LS=Luxury Spaceの名前の通りVIPのための移動空間として提案されています。トヨタ同様レクサスも、コンセプトのパワートレインは不明ですが、低くフラットなフロアと広い車内空間、同社の「喧騒から隔離され安心と寛ぎで満たされるインテリアスペース」との謳い文句からも、BEV展開の可能性が伺えます。


ダイハツ
トヨタブランドの南棟ホールの中で、初代ミゼットの展示で懐かしい気分にさせてくれるのがダイハツのブースです。今回メインステージに展示されたEVは、その精神を受け継いだ電動コンセプトカー「ミゼットX」。軽自動車と電動自転車の間に位置する小型モビリティとして考案されたこのコンセプトモデル、ボディ後部のボックスは取り外しが可能で、ライフスタイルに合わせてアレンジできるようになっています。サイズは、全長2200mm、全幅1295mm、全高1680mm。乗車定員3(1+2)名で、車両区分は軽BEVとのことです。


スズキ
その他の国内メーカーも話題のEVを展示しています。まず、BYDが同イベントで話題を呼んだ軽EV「BYD ラッコ」の競合モデルとしても注目されているのが、スズキのEVコンセプト「Vision e-Sky(ビジョンe-スカイ)」です。2026年の量産を目指すこの軽EVは、「生活の足」として愛用されることを目指し、全長3395mm、全幅1475mm、全高1625mmのスタンダードなサイズに仕上がっています。

スバル
スバルは、未来を表現したBEVベースのコンセプトモデル「Performance-E STI concept(パフォーマンスE STIコンセプト)」を世界初公開しました。高い空力性能を追求したスタイルとヘリテージを想起させるデザインがスバルのEVへの本気度を伺わせます。

また、同ブースでは、グローバルバッテリーEV(BEV)ラインナップ第2弾となる新型「Trailseeker(トレイルシーカー)」の日本仕様も初公開されました。BEVならではの走行性能と、SUVとしての実用性を兼ね備えた一台は「ソルテラ」に続く2車種目のBEVとして国内導入される予定。全長4845mm、全幅1860mm、全高1675mmの無骨なデザインながら、0-100km/hの加速はソルテラの5.1秒を上回る4.5秒を記録しています。

BMW
BMWは、ノイエ・クラッセの第一弾モデル「ニューBMW iX3」をアジア初公開しました。同モデルは、BMWパノラミックiDriveを搭載する最初のモデルで、第6世代BMW eDriveテクノロジーで800kmの航続可能距離、10分で372km分を追加できる充電能力(400kW充電時)などを有する高性能BEVとして注目されています。また、双方向充電機能も搭載され、V2L、V2H、そしてV2G(ビークル・トゥ・グリッド)の電力供給源としても機能します。日本向けBMW iX3は2026年3月に生産開始予定、日本国内販売は2026年後半に開始される計画です。

MINI
BMWグループのMINIは、英国人デザイナーのポール・スミスとのコラボレーションによる特別仕様車「MINIポール・スミス・エディション」を世界初公開しています。ノッティンガム・グリーンなどの限定カラーやシグネチャー・ストライプを採用し、3ドア・5ドア・コンバーチブルで展開されるこのBEVモデルは発表と同時に販売開始されました。ポール・スミスの「クラシックにひねりを加えた」デザインはブースをスタイリッシュに彩っています。

また、今年2月に発売されたMINI ジョンクーパーワークス・エースマン・イーも展示されています。MINI史上初のハイパフォーマンスEVとなった同モデルは、最高出力 190kW、最大トルク 350Nm、バッテリー容量 54.2kWhで一充電走行距離 403kmの実力を誇ります。

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツのブースには、2025年6月にワールドプレミアされた完全電気自動車「コンセプトAMG GT XX」とフルモデルチェンジによってBEVラインナップに新たに加わった「The all-new electric CLA」が展示されています。
メルセデスAMGの EV専用プラットフォームとされる、「AMG Electric Architecture(AMG.EA)」を搭載した最初のコンセプトカーが「AMG GT XX」。印象的なサンセットビームオレンジのカラーリングとスポーティなエクステリアデザインは、イベント会場でも注目の的となっていました。

また、現在メルセデスが提供する、最もインテリジェントなクルマとされているのが、BEVの新型CLA。メルセデス・ベンツ オペレーティングシステム(MB.OS)を完全搭載した初のモデルとして、今後の同社のEVシフトを牽引する一台となりそうです。

シャープ
これらのメジャーな自動車メーカーの展示とともに注目を浴びていたのがシャープです。同社が台湾のフォックスコン(鴻海)のBEV「モデルA」をベースに開発したコンセプトモデル「LDK+」の第2弾が展示されました。停車時にリビングルームの拡張空間としての利用を提案する同車両は、運転席を回転させることで、後列の乗客と対面できる作りになっていて、後部座席にスクリーンも設置されています。実際の展示車両に乗り込むことで「リビングの拡張空間」という提案を体感することができます。


このように、様々なアプローチで開発が進められる最新EVを一覧できるジャパンモビリティショー2025。会場に展示されている実車を体感することで、現時点での各メーカーのEV開発に対する本気度が実感できるイベントになりました。

