2024年7月、欧州の電気自動車(BEV)市場においてBMWが米テスラを抜いて月間BEV販売台数首位に立ちました。
市場調査会社JATOダイナミクスが発表した最新データによると、BMWは2024年7月に欧州市場で1万4896台のBEVを販売し、前年同月比で35%増となりました。一方、テスラの販売台数は16%減少し、BMWに約300台の差をつけられる形となりました。
BMWの躍進の背景には、過去数年間にわたる積極的なEV戦略の成果が表れていると考えられています。特に、iX1、i4、i5といった人気モデルの進化版が好調で、新型iX2も1300台以上を販売しました。これらのBMWの電動モデルラインナップの充実ぶりが、欧州の消費者の支持を集めたと言えるでしょう。
JATOダイナミクスのグローバルアナリスト、フェリペ・ムニョス氏は、「BMWの成功は、従来の自動車メーカーがEV市場で競争力を持ち得ることを証明しています。彼らの強みであるブランド力と品質管理の高さが、EV市場でも発揮されつつあります」とコメントしています。
2024年7月 欧州BEV登録台数ランキング
順位 | モデル | 登録台数 | 前年同月比 |
---|---|---|---|
1 | テスラ モデルY | 9544 | -16% |
2 | ボルボ EX30 | 6573 | 新モデル |
3 | フォルクスワーゲン ID.4 | 5295 | -40% |
4 | テスラ モデル3 | 4694 | -17% |
5 | シュコダ エニャック | 4346 | -27% |
6 | BMW iX1 | 4305 | +25% |
7 | BMW i4 | 4198 | +23% |
8 | アウディ Q4 | 3979 | +27% |
9 | MG 4 | 3966 | -33% |
10 | クプラ ボーン | 3863 | +4% |
BEV総登録台数:13万9244台(前年同月比 -6%)
一方、テスラの苦戦も注目されます。テスラのモデルYと3は依然としてBEVランキングの上位を維持しているものの、その優位性は低下しつつあります。モデルYは2024年7月の車両総合ランキングで9位にとどまり、以前の圧倒的な人気には陰りが見え始めています。
しかし、この結果を単純にBMWの勝利とテスラの敗北と見るのは早計かもしれません。欧州のBEV市場全体を見ると、2024年7月の新規登録台数は13万9300台で前年同月比6%減となり、市場シェアも14.6%から13.5%に低下しています。
ムニョス氏は、「EVのインセンティブ政策の変更や、一部の国での経済的不確実性が、EV購入を検討している消費者の慎重姿勢につながっています。これらの要因が、7月の販売減少に寄与しました」と分析しています。
また、中国メーカーの動向も無視できません。BYDやSAICモーター(上海汽車集団)などの中国勢は、2024年に入り欧州でのプレゼンスを着実に高めてきました。しかし、EUが新たに導入した関税の影響を受け、7月の中国製EV流入は前月比で45%鈍化しています。
メインカット:BMW iX1