中国の電気自動車(EV)大手NIOは、2024年12月21日、広東省広州市で開催された年次イベント「NIO Day 2024」において、新ブランド「Firefly」を正式発表しました。
ロイターの報道によると、Fireflyブランドの第1弾モデルとなる同名の車両「Firefly」は、BMWのMINIやメルセデス・ベンツのスマートに対抗するプレミアムコンパクトEVとして位置づけられています。価格は14万8800元(約319万円)からで、これは現在割引販売中の電動MINI(当初20万9800元から値下げ)と同価格帯、スマート#1(15万4900元)より若干安価な設定となっています。
NIOの創業者であり、会長兼CEOのウィリアム・リー氏は「Fireflyは、スマートよりもコンパクトで、MINIよりもスマートな車両です」とコメントしています。
デザインは、BMWやフォードでの経験を持つクリス・トマソン氏(NIOデザイン担当上級副社長)が手掛け、3つの円形ライトと黒いハッチグリル、短いボンネットとルーフに繋がる幅広いCピラーが特徴的です。実用面では、最小回転半径4.7メートルという欧州の狭い道路に適した設計を採用し、荷室容量は通常92リットルから最大1250リットルまで拡張可能です。
安全性能については、中国の最新衝突試験基準(C-NCAP 2024)で5つ星評価を獲得。車体の83.4%に高張力鋼を採用し、同クラス最高のねじり剛性3万5700Nm/度を実現。また、9つのエアバッグとADASシステムを標準装備しています。
販売戦略について、当初は欧州市場での先行発売を計画していましたが、2024年10月に欧州委員会が導入した中国製EVへの20%以上の追加関税の影響により、戦略を変更。中国での先行発売を決定しました。ダニエル・ジンFirefly CEOによると、欧州市場には2025年第2四半期での投入を予定しており、その後、ラテンアメリカや東南アジアへの展開も検討しているとのことです。
中国市場では予約金199元(約4300円)で予約受付を開始し、予約特典として2000元(約4万3千円)の値引きを適用。既存のNIOおよびONVOオーナーには、納車時に3000元(約6万4千円)相当のポイントが付与されます。
NIOは2026年にFireflyブランドで初のレンジエクステンダー(航続距離延長型)ハイブリッドモデルを海外市場向けに投入する計画もあるとされています。なお、NIOは2025年の販売台数倍増、2026年の収支均衡を目標に掲げていますが、現在の販売成長は計画より2年遅れているとしています。
正式発売は2025年4月を予定しており、上海モーターショーでの発表が有力視されています。