中国EV最大手のBYDが日本市場に特化した軽自動車規格のEVを開発し、2026年後半に発売する予定であることが明らかになりました。同社は日本の軽自動車規格に対応したプラットフォームを設計、中国国内で生産して日本へ輸出する計画です。
EVのバッテリー技術に強みを持つBYDは、2023年に日本市場に参入しましたが、2025年3月までの累計販売台数は4530台。一方、日本国内のEV市場では、日産の軽EV「サクラ」が乗用車EV全体の38%を占め、三菱自動車の「eKクロスEV」と合わせると軽EVだけで4割以上のシェアを持っています。
BYD Auto Japanによると、来年発売されるBYDの軽EVは同ジャンルを牽引するサクラ(価格: 259万9300円〜308万2200円)や2024年度に21万台以上の売り上げを記録したホンダの軽「N-BOX」(価格:173万9100円~247万5000円)などをターゲットとして日本国内で展開されていく見込みです。

BYDはこれまで中国市場向け車種を海外に展開するビジネスモデルを採用してきましたが、特定国に特化した乗用車を開発するのは今回が初めてとなります。同軽EVの価格は日本市場の競合製品と同等の約250万円が想定されていて、最も価格競争力のある製品としてBYDは投入を目指します。
日本の新車市場において軽自動車は約4割を占める重要セグメントですが、長さ3.4メートル以下、幅1.48メートル以下、従来の排気量制限660cc以下という独自規格が海外メーカーにとって「非関税障壁」となってきました。
充電インフラに関しては、日本市場の特性に合わせて、BYDの新型軽EVは日本独自の急速充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」に対応。同社は日本進出時から同規格への対応を進めてきました。
BYDは2024年の世界販売台数が427万台に達し、日産やホンダ、スズキを上回り話題を呼びましたが。2025年には500万台を視野に入れており、日本市場攻略の鍵として軽EVセグメントへの参入を決断。同社は、日本の消費者ニーズに合った軽自動車を低コストで開発すべく、日本の軽自動車に精通した人材の確保も進めています。

また、「セカンドカー」として使用される軽自動車は、航続距離や充電インフラの制約があるEVとの親和性が高いことも、BYDの戦略的参入の理由とされています。価格競争力と先進的なEV技術を持つBYDの参入により、日本メーカーが長年独占してきた軽自動車市場にどのような変化が訪れるのかが注目されます。