テスラは、2025年8月20日、監視つきFSD(Full Self-Driving)の日本国内での本格的な技術テスト走行および学習を開始したことを発表しました。同時に、横浜市みなとみらい地区で実施されたFSDのテスト動画をXで公開し、日本の複雑な道路環境での自動運転技術の実証実験が注目を集めています。
公開された動画では、みなとみらい地区での自動運転FSDの様子が3分03秒にわたって収められています。テスト車両は大観覧車を有するよこはまコスモワールド沿いを走行し、信号で自動的に停止、左折の方向指示器を点灯させました。続く信号では自動停止後、横断歩道の歩行者が渡り切るのを待ってからスムーズに左折を実行しています。走行中には路肩に駐車するトラックを避けて直進し、車線変更をして交差点を右折するなど、都市部特有の複雑な交通状況に対応しました。特に交通量の多い交差点では、車列の先頭で信号待ちをした後、スムーズな右折を実現しています。

その後、車線変更を繰り返しながらみなとみらい周辺をドライブし、道路工事現場では隣の車線にスムーズに割り込んで工事現場を回避しました。山下公園沿いを走行した後、細い脇道で道路を横切る歩行者に道を譲るため停止するなど、日本の道路環境に応じた柔軟な運転を披露しています。動画で示されたすべての運転操作は完全自動運転(FSD)によるものですが、日本の法的制約により、運転席のドライバーがハンドルに手を添えた状態での実験となりました。

以下がテスラのFSDテスト走行動画です。
FSD (Supervised)のテスト走行を本格開始
— Tesla Japan (@teslajapan) August 20, 2025
*国内リリース時期は、弊社開発状況及び規制当局の許認可に依存します。 pic.twitter.com/0DmacEkTXq
日本の公道での自動運転実験としては、同じ横浜みなとみらい地区で日産が先行して取り組みを進めています。2024年6月には、カメラ、レーダー、ライダーを搭載したセレナによる運転席でハンドルに手を添える自動運転実験を公開し、2025年2月には運転席無人の自動運転実験を実施しました。運転手としての法的責任は遠隔監視員が担う形で実現しています。

テスラは同動画の説明において、「本動画は、監視つきFSD開発テストに係る動画です。走行は試作車両で行っています。監視つきFSDは、ドライバーが道路状況や周辺環境に注意を払い、車両制御を常時監視等することが必要な機能です。監視つきFSDの日本市場でのリリース時期は、今後の弊社開発状況及び規制当局の許認可に依存します」と明記しています。
また、今回の実験についてテスラは、「日本では事故の責任はドライバーに帰属するため、普及には安全性の担保が不可欠です。テスラは現在、社員によるテスト走行で安全性検証とAI学習を進めており、その後一般ドライバーへの利用拡大を目指しています」と説明しており、慎重な姿勢を示しています。




