テスラは、中国市場向けのモデルY Lにおいて、ディープシーク(DeepSeek)とバイトダンスの豆包(Doubao)AIモデルを統合し、車内AI音声対話機能の向上を図ることを発表しました。これは、テスラが中国の国内EVメーカーとの競争において、現地のAIモデルを活用した初の試みとなります。
テスラのウェブサイトに掲載された利用規約文書によると、モデルY Lにはバイトダンスのボルケーノエンジン(Volcano Engine)クラウドサービス上でホストされるディープシークと豆包のAIモデルが統合される予定です。豆包はナビゲーション設定、メディア再生制御、空調温度調整などの音声コマンド機能に加え、オーナーズマニュアルへのアクセス機能を担当します。一方、ディープシークはAI対応の音声チャットサービスを提供します。

現地メディアによると、テスラは最近、車内インタラクション体験のAIモデルサポート提供を目的としてボルケーノエンジンと提携しました。米国では、テスラ車両はイーロン・マスクCEOのAI企業xAIが開発したGrokモデルを使用しています。
テスラは2025年8月19日に中国でモデルY Lを発売しました。この6人乗りSUVは、従来の5人乗りバージョンに加わるモデルYラインナップの新たな選択肢となっています。モデルY Lでは「Hey, Tesla」または独自のウェイクワードを使用して車内音声アシスタントを起動できます。中国の他のテスラモデルでは、ユーザーはステアリングのスクロールボタンを押すことでのみ音声コマンドを起動できる仕様となっています。

中国のEV専門メディアCnEVPostの報道によると、中国におけるテスラの車内インテリジェンス機能は十分ではないと見なされています。特に国内EVメーカーが長い間インテリジェント仮想音声アシスタントをモデルに組み込み、過去1年間でAI機能をさらに強化している状況を考慮すると、その差は顕著です。
ディープシークは2025年以前は比較的無名の存在でしたが、年初にR1モデルをリリースしたことでシリコンバレーに衝撃を与え、その優れたAI機能により多くの自動車メーカーから注目を集めています。Zeekr(ジーカー)、東風日産、東風M-Heroなど多数の企業が年初にディープシークのAIモデルの統合を発表しています。
ディープシークは2025年8月21日、最新のV3.1モデルをリリースし、これをエージェント時代への第一歩と説明しています。同社によると、新モデルはハイブリッド推論アーキテクチャ、より高い思考効率、より強力なエージェント機能を導入しているとのことです。