Googleの自動運転部門であるWaymoが、2026年よりロンドンで完全自動運転ライドヘイリングサービスを開始すると発表しました。
これは、Waymoにとって初の米国外での本格的な商用サービス展開となります。同社は既にサンフランシスコ、フェニックス、ロサンゼルスなどの米国主要都市で完全自動運転サービスを提供しており、その実績を基にロンドンへの進出を決定しました。
Waymoは米国市場で既に圧倒的な実績を積み重ねています。同社の完全自動運転車両は1億マイル以上を走行し、1000万回以上の有料配車サービスを提供してきました。現在、ジャガー I-PACEのEV車両を使用し、毎週数十万回のライドを提供しています。
注目すべきは、その安全性データです。Waymoの完全自動運転車両は、人間のドライバーと比較して負傷事故が5分の1、歩行者との事故に至っては12分の1という驚異的な数字を記録しています。この安全性の高さが、英国政府や安全関連団体からの支持を得る大きな要因となっています。

Waymoのロンドン進出は、英国政府から全面的な支援を受けています。ヒーディ・アレクサンダー運輸大臣は「Waymoのロンドンでのサービス開始は、英国の自動運転車両開発における世界的リーダーシップを示すものです」と歓迎の意を表明しました。
特に社会的に大きな意義を持つのが、交通弱者への移動手段の提供です。英国王立盲人協会の最高経営責任者、マット・ストリート氏は「視覚障害を持つ人々にとって、自動運転車両は独立した移動を可能にする画期的な技術です」と評価。現在、視覚障害者は公共交通機関が利用できない場合、家族や友人に頼るか、高額なタクシーを利用するしかありません。自動運転車両は、真の移動の自由をもたらす可能性があります。
道路安全推進団体Road Safety GBのニック・ロイド氏も「Waymoの技術が道路安全に革命をもたらす可能性があることを示す説得力のある証拠があります」と評価しています。ロンドンのサディク・カーン市長は「ロンドンは2030年までに交通死傷者ゼロを目指しています。Waymoのような革新的な技術は、この目標達成に貢献する可能性があります」と述べました。
Waymoはロンドンでのサービス展開において、フリート運営パートナーのMooveと協業します。ユーザーはWaymoアプリから簡単に配車でき、完全自動運転車両による移動サービスを利用できるようになります。英国ブランドとのパートナーシップも重要な要素です。ジャガー・ランドローバーとの協力関係により、ジャガーI-PACEという英国を代表するEVが自動運転サービスに使用されます。
Waymoは今後数カ月にわたって、地方自治体や国家レベルの関係者と協力し、商用サービスの許可取得を推進していく予定です。2026年のサービス開始に向けて、技術の安全性と社会的受容性の両面で、世界が注目する展開となりそうです。






