テスラがソフトウェアアップデート2025.32.300を通じて、中国市場向けモデルYLにV2L(Vehicle-to-Load)機能を実装しました。2025年10月31日、DriveTerslaが伝えています。これは、長らく他社EVでは標準的だった機能がテスラにもついに搭載されたことを意味します。
モデルYLに搭載されたV2L機能は、車両の85kWhバッテリーから最大6.6kWの電力を外部機器へ供給できます。専用アダプターを介して220V/30Aの家庭用電源として機能し、キャンプやアウトドア活動での電源確保、停電時の非常用電源など、多様なシーンでの活用が期待されます。

安全面にも配慮が行き届いており、バッテリー残量が設定された閾値を下回ると自動的に給電を停止する機能を搭載しています。車両の走行能力を確保しながら、外部機器への電力供給を実現しています。
この機能追加は、中国市場での競争力強化を意図した戦略的な動きと見られます。中国では既に多くのEVメーカーがV2L機能を標準装備しており、テスラはこれまで機能面で遅れをとっていました。モデルYLという人気モデルへの実装により、市場でのポジション強化を図ります。
また、サイバートラックで既に実装されている双方向充電機能との技術的連携も注目されます。テスラは段階的に双方向充電技術を展開し、ノウハウを蓄積していると考えられます。

テスラのV2L機能実装は、単なる便利機能の追加に留まりません。同社が展開するパワーウォールやソーラーパネルと組み合わせることで、家庭レベルでの分散型エネルギー網の構築が現実味を帯びてきます。
将来的には、Vehicle-to-Grid(V2G)やVehicle-to-Home(V2H)への拡張も期待されます。EVが単なる移動手段ではなく、電力網の安定化に貢献する「動く蓄電池」として機能する時代が近づいています。ピークシフトの実現により、再生可能エネルギーの効率的な活用も可能になるでしょう。

