EV充電インフラを手がけるプラゴが、他社の充電器を含むローミング環境下でも従量制課金(kWh課金)を実現する新機能の提供を2026年7月9日に開始しました。プラゴによれば、ローミング先の充電器を含めてkWh単位での課金を可能にする機能は国内初とのことです(2026年7月9日時点、プラゴ調べ)。
EV充電の課金方式は、これまで充電にかけた時間を基準とする時間課金が中心でした。しかし、実際に充電される電力量は車両のバッテリー状態や充電器の出力といった条件によって変動するため、同じ時間充電しても得られる電力量には差が生じます。こうした背景から、業界では実際の使用量に応じて料金を支払うkWh課金への切り替えが進みつつあります。
もっとも、kWh課金を導入するには、計量法が定める「特定計量制度」への対応が欠かせません。この制度は、電力量(kWh)を料金取引の根拠として用いる場合に、一定の要件を満たしたうえで所轄への届出などを行うことを求めるものです。単独の事業者内で完結する充電であれば対応の見通しも立てやすいものの、複数の事業者の充電器をまたいで利用できるローミングの仕組みでは事情が異なります。どの充電器が届出対象の計量器に当たるかの整理、利用者への料金表示や説明、取引データの管理など、対応すべき項目が事業者間で重複・分散し、結果としてローミングネットワークの拡大を妨げる一因になっていました。
プラゴが新たに提供するのは、こうした複雑な対応を事業者に代わって引き受ける仕組みです。同社は、アプリからバックエンド、決済、充電器連携までを一体で提供するEV充電サービス事業者向けプラットフォームを展開しており、新機能はこの基盤上で動作します。ローミング先充電器の計量データや利用情報、決済情報を連携させたうえでkWh単位の課金処理を実行し、特定計量制度で求められる利用者向けの料金表示や説明、届出・定期報告に必要なデータの整理までを一括で担います。これにより、充電サービス事業者は計量や課金のシステムを自社で構築することなく、ローミングに対応したkWh課金サービスを展開できます。ただし、特定計量制度に基づく行政への届出そのものは各事業者が行う手続きであり、プラゴが担うのはそれを支えるシステム面の機能です。
EV充電サービス間の相互利用は今後さらに広がるとみられ、その中で事業者が個別に計量・課金の仕組みを整える負担は小さくありません。ローミングとkWh課金を両立させる基盤を外部から利用できるようになれば、こうした負担を抑えつつkWh課金に対応する事業者が増える可能性があります。利用者にとっても、どの事業者の充電器を使っても実際に充電した電力量に応じて支払える環境が整えば、料金の分かりやすさや公平感の向上につながりそうです。

