EVcafeで考える 第16回
byがす
こんにちは、がすです。
2023年11月5日、イーロン・マスクが驚きの発表をしました。イーロン・マスクは今年7月半ばに人工知能 (AI) スタートアップ「xAI社」を立ち上げましたが、そのxAI社の初製品として「Grok(グロック)」を発表したのです。
GrokはChatGPTに対抗する独自のAIボットです。ChatGPTが真似できない点として、GrokはX (Twitter)と連携し、そのXでの最新情報もまじえてChatGPTが答えられない質問にも答えることができる上、さらには皮肉やジョークも交えるそうです。しかも、このサービスはX(Twitter)のサブスクになるため、有料化のビジネスモデルも既に完成されています。
おそらく狙ってきたのでしょう。 イーロン・マスクは間もなく開催される競合のChatGPTを手掛けているOpenAIの初イベントOpenAIデイの直前にこのクールなGrokを発表してきたのです(笑)。
イーロン・マスクはOpenAIのスタート当時にOpenAI に10億ドル出資した後、方向性のすれ違いからOpenAIと物別れになりました。少なくとも当時はOpenAIやGoogleはAIの危険性についてイーロン・マスクと意見が合わなかったようです。そんな中、イーロン・マスクがxAI社を立ち上げて4カ月あまりでOpenAIの対抗馬を出してくるあたり、やはりAIの世界でも最先端を走るつもりなのだなという印象です。
しかし、それは突然の話ではなく、それこそOpenAIに10億ドル出資していたこともそうですが、その後も、イーロン・マスクはテスラでAIを使った完全自動運転を開発していました。
同じAI利用でも、OpenAIが開発している大規模言語モデル(LLM)の「ChatGPT」と、テスラの開発するAI「完全自動運転」を比較して、イーロン・マスクは、このように発言をしています。
「多くのAI企業が大規模言語モデル(LLM)などを開発している。私は『それがそんなにすごいのなら、なぜ自動運転車をつくれないのか』と言いたい。その方が難しいからだ。それが理由だ」 (2023年7月19日決算報告会にて)
つまり、何年も前からイーロン・マスクは、テスラで大規模言語モデル(LLM)の「ChatGPT」より遥かに難しいAIによる自動運転の開発をしてきた経験から、「大規模言語モデルくらい俺たちにも作れる」、「ChatGPTよりもっといいものが作れる」という思いがあるのでしょう。
さらにイーロン・マスクは、車に搭載するAI自動運転処理専用の半導体を自社で設計(テスラは当時、Apple、インテルでCPUを設計した天才エンジニアのジム・ケラーを引き抜いた)、トレーニングが重要なAIのために専用のスーパーコンピューターDojoまで自社で開発して拡張しました。それと並行して、NVIDIAのTesla AI 10k H100 クラスター(スーパーコンピューターの集合体)も稼働させています。
そんな訳で、ぽっと出ではなく、実はAIの世界でもトップ集団にいたイーロン・マスクなのですが、さらに「AIが最大限の好奇心を持って宇宙を理解しようとすることが、人類にとってAIが安全であり、人類に貢献することになる」として、「宇宙の本質を理解すること」を目標にxAI社を立ち上げました。
その立ち上げ時に、イーロン・マスクは、xAI社はX(Twitter)とテスラと協力関係になり連携すると言っていました。そして、そのX(Twitter)との連携がまさに、X(Twitter)の世界中で起こっている人々のつぶやき、リアルタイム情報と連携するAIボットGrokというわけです。これは他社に絶対に真似できるものではありません。なぜなら、Twitterを6兆円で買ったのはxAI社を立ち上げた、イーロン・マスクなのですから。
さて、xAIのGrokとX(Twitter)の連携は分かりました。もうひとつイーロン・マスクが言っていたxAIとテスラとの連携とは、一体どのようなことなのでしょうか?
イーロン・マスクはGrokは、テスラEVでネイティブに動く(全テスラに搭載されている自動運転用のFSDチップは推論用に設計されているから)というX(Twitter)での話題に「いいね」をし、「世界中のテスラEVを使って分散推論計算ができる」という発言をしました。
これはEVについての考えを遥かに超えた非常に面白い話ですが、世界中のプレステが協力して科学計算やマイニングをしないように「理論上できるね」というリップサービス的な話であって、イーロン・マスクが考えている本命のxAIとテスラとの連携ではないように思います。
では、本命の連携とは何でしょうか?
テスラのAIといえば自動運転以外にも、もうひとつあります。そうです、オプティマスです。
テスラの開発するAIロボットのオプティマスに、xAIのGrokが搭載されるのは自然な流れでしょう。つまり、AIロボットのオプティマスは、質問したらジョークを交えて最高の頭脳で答えてくれるわけです。テスラの完全自動運転(FSD)と同じ技術で、カメラ(視覚)からの情報で推論、判断しタスクをこなすテスラのオプティマス。しかも学習から覚えた知識を使って自分で全く新しい問題を考え、判断するように成長します。そのオプティマスが、xAIのGrokも搭載し、ChatGPTを超えるX(Twitter)のリアルタイム情報性を持って、皮肉とユーモアを交えて人類と会話しながら我々を助けるようになったら、未来はどうなるでしょうか?
そんな未来がイーロン・マスクによって、そう遠くない時期に実現されそうです。テスラは、オプティマスを2万ドル(約290万円)で発売することを計画しています。
引き続きEVcafeではテスラとxAIのニュースを独自の視点で追いかけていきたいと思いますので、よろしくお願いします!
がす(来嶋 勇人)
福岡県出身。(株)ファミリーマートのマーケティング本部でアプリやコーヒーのパッケージを作っていたが早期退職。無職になりテスラでハローワークに通い見つけた会社に入社。そこでゼロからスタートし、そこの関連会社の社長に抜擢され就任。現在はECやアニメーション事業を行っている。
プライベートでは2024年からイーロン・マスクの公式パロディアカウント(フォロワー140万人)からオファーをもらいイーロン・マスク(パロディ)公認のAIデザイナーとなり、ハイクオリティなAI画像をイーロン・マスク(パロディ)に提供中。そのメールをやりとりしているイーロン・マスク(パロディ)はイーロン・マスク本人だと思っている。
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