英国のケータハムは、スポーツカーの祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023」において、軽量完全電動クーペのコンセプトカーである「プロジェクトV」をデビューさせました。当初から電気自動車として設計された「プロジェクトV」は、ケータハムの新しいチーフデザイナー、アンソニー・ジャナレリーによってデザインされ、世界的に有名なイタリアのエンジニアリング会社 イタルデザインよって具現化されました。
「プロジェクトV」は、リアアクスルに取り付けられた200kW(272PS)のシングルモーターを搭載したバッテリー電動パワートレインを使用。これは、高度な熱管理を備えた55kWh USOCリチウムイオンバッテリーパックと、150kW DC急速充電器を使用して、わずか15分で20〜80%から充電する機能を備えています。また、4.5秒未満で0-100Km/hの加速が可能な「プロジェクトV」は、230Km/hの推定最高速度で、航続距離は400kmが目標です。
「プロジェクトV」は同日公開された「ケータハム・セブン」と同じように軽量でシンプルなデザイン哲学。ケータハムは、革新的な炭素繊維とアルミニウム複合シャーシを使用することで、両重量1190kg(2+1シートレイアウト)を目標としています。
ケータハム・カーズのCEO兼、新たに設立されたケータハムEVoのCOO、ボブ・レイシュリーは、次のように述べています。「『プロジェクトV』は単なるコンセプトやデザインスタディではなく、開発段階を通じてエンジニアリングと生産の実現可能性を検討してきました。どのような形やサイズであれ、EVケータハムは、我々のDNAである、軽量でシンプル、比類のないドライビング体験を提供するという、私たちを他の誰とも違う存在にしているものに忠実でなければなりません。『プロジェクトV』は、会社を持続的に成長させ、同時に電動化を探求するというケータハムの野心を満たすものです。次の段階の開発と技術能力次第ですが、『プロジェクトV』は2025年後半から2026年前半に市場に投入する計画であり、価格帯は最低小売価格8万ポンド(約1450万円)未満からを目標にしています」
「プロジェクトV」のチーフデザイナー、アンソニー・ジャナレリは次のように付け加えています。「『ケータハム・セブン』のデザインはシンプルかつミニマリストであり、軽量で運転が楽しいという本来の機能のためにデザインされています。『プロジェクトV』では、この哲学をスポーツ・クーペのアーキテクチャーに適用し、魅惑的で時代を超越したシルエットを創り上げています。軽さを維持し、ドライバーのエンゲージメントを最適化するためには、重量の観点からすべての機能が本当に必要かどうか正当化されなければなりません」
「プロジェクトV」のショーカーは、2+1のシートレイアウト(オプションで2+2)を採用しており、乗降性を最適化し、後席乗員の快適性を高めるとともに、将来のオーナーの使い方の柔軟性を高めています。インテリアの中心には、スマートフォンのミラーリング機能を備えた、シンプルでドライバーにフォーカスしたインフォテインメント・システムがあり、デジタル・インストルメント・クラスターが主要な情報を表示します。ドライバーは、さまざまな環境に合わせて加速と操作性をインテリジェントに調整するドライビング・モードを、ノーマル、スポーツ、スプリントから選択可能です」
フルアジャスタブル・ジオメトリーのダブルウィッシュボーン式フロント/リア・サスペンション、電動アシスト・パワーステアリング、Michelin Pilot Sport 4Sタイヤ(フロント19インチ、リア20インチ)、高性能キャリパー付きディスクブレーキを、このコンセプトカーは装備しています。
イタルデザインのビジネス・ディベロプメント・マネージャー、アンドレア・ポルタは次のように語っています。「ケータハムとアンソニー・ジャナレリのパートナーとなり、『プロジェクトV』を実現できたことを嬉しく思います。あらゆるステップで、将来の生産バージョンを滞りなく市場に投入できるように、商業的に実行可能なコンセプトカーやプロトタイプ車を生産してきた私たちの経験を活用しました」
レイシュリーはこう続けます。「『プロジェクトV』はセブンの代わりではなく、セブンを補完するものであり、ケータハムのコアバリューを維持することで、既存の顧客層にアピールし、同時に新しいファンをブランドに引きつけることができると信じています。より実用的なクーペのボディスタイルを採用し、EVのパッケージングの利点を生かすことで、このクルマは日曜日の朝のスプリントだけでなく、買い物や通学にも使用できます」
VTホールディングスの高橋一穂社長兼CEOは、今回の発表において次のように述べました。「本日、このグッドウッドの地において、我々から2つの新型車両(『プロジェクトV』と『ケータハム・セブン』)を発表することが出来ることを大変光栄に思います。ケータハムの決して変えてはならない物、時代の要求に応えて変化すべき物、この一見相反する二つの要求を妥協することなく融合させた結果が、この2つの新型車になります。このプロジェクトに関わったすべての方々、ケータハムのこれまでの50年間を支えていただいたすべての方々に、深く感謝申し上げます」
【プロジェクトV コンセプト 仕様】
車両 | ケータハム・プロジェクトV |
パワートレイン | BEV, RWD with single rear-mounted permanent synchronous nominal 400V e-motor |
バッテリー | Li-ion, 55 kWh USOC with advanced thermal management |
ディメンション | 全長:4255mm、全幅:1893mm、全高:1226mm |
ホイールベース | 2581mm |
最高出力 | 200kW / 268bhp / 272PS |
0-62m/h (100km/h) | 4.5秒未満 |
最高速度 | 143m/h (230km/h) |
目標重量 | 1190kg未満 DIN質量(2+1シートレイアウト) |
目標航続距離 (WLTP) | 249 miles (400km) |
目標充電時間 | 15 分間で 20-80%充電 (150kW DC 充電器) |
コンストラクションタイプ | 革新的なカーボンファイバーとアルミニウムの複合シャシーと複合ボディワーク |
サスペンション | ダブルウィッシュボーン(フロント・リア) |
タイヤ | 235/35/R19(フロント)285/30/R20(リア) |
目標最低小売価格 | 8万ポンド(約1450万円)未満より(英国市場) |
『プロジェクトV』の詳細については、caterham.com/projectvをご覧ください。