自動運転

クルーズ・オリジンも生産ストップ、人身事故で営業停止となったクルーズのロボタクシーは、本当に人が遠隔操作していたのか?

  2023年10月2日に、サンフランシスコの交差点で女性が人の運転する車に轢かれ、GM傘下のクルーズが運営する無人ロボタクシーの進路上に跳ね飛ばされました。ロボタクシーは被害者を轢いて一時停止した後、約6m、女性を引きずった状態で移動、縁石に寄せ駐車して重傷を負わせるという事故となりました。これを受けカリフォルニア州陸運局はクルーズ社のロボタクシーへのドライバーレス許可を一時停止。その後、クルーズは全車両でロボタクシー事業を一時停止することになりました。

全車両で事業を停止することとなったクルーズのロボタクシー
全車両で事業を停止することとなったクルーズのロボタクシー

 ニューヨーク・タイムズは、この事故で営業を停止したクルーズ社に関する11月3日の記事の中で、以下のような内容を報じました。

「無人運転が停止されたとき、クルーズ社の400台の車の半分はサンフランシスコにありました。これらのロボタクシーは、車両 1台につき 1.5人の作業員を擁する膨大な運営スタッフによってサポートされていました。運営に詳しい関係者2人によると、従業員らは、約4〜8kmごとに同社の車両を支援するために介入したと言います。言い換えれば、車からの『問題がある』という携帯信号を受信した後に、車を遠隔制御するために人が何かをしなければならないことが頻繁にあったということです」

サンフランシスコで24時間運営されていたクルーズの無人ロボタクシー
サンフランシスコで24時間運営されていたクルーズの無人ロボタクシー

 クルーズの創設者兼CEOのカイル・ヴォクトは、Hacker Newsへの投稿で、この「クルーズ社の無人運転ロボタクシーは、遠隔地にあるオペレーションセンターで人間の助けを頻繁に必要とするため、本当の自律運転ではない」との疑惑に反論しました。

「複雑な都市環境において、クルーズ社のロボタクシーは平均して2〜4%の時間でリモートアシスタンス(RA)されています。これはすでに十分に低い割合であり、特に、特定の状況下で人間が物事を確認することがいかに有用であるかを考えれば、これ以上最適化しても大きなコストメリットはありません」とヴォクトCEOは投稿に書いています。

 リモートアシスタンス(RA)セッションを開始する頻度について、ニューヨーク・タイムズは4〜8kmごとと言及していますが、ヴォクトCEOは、「これらのRAセッションの多くは、非常に迅速に解決されている」と指摘しました。

クルーズのロボタクシーは、複雑な都市環境において平均2〜4%の時間リモートアシスタンスされていた
クルーズのロボタクシーは、複雑な都市環境において平均2〜4%の時間はリモートアシスタンスされていました

「ニューヨーク・タイムズが引用した数字は、ロボタクシーがRAセッションを開始する頻度です。ロボタクシーは積極的に、そして支援が必要であると確信する前にセッションを開始するので、そのうちの多くは、人間が物事を確認する前にロボタクシー自体によって解決されています。また、多くのセッションは、数秒で解決する簡単な確認要求『続行してもよいか?』です。もっと時間がかかるものもあり、トリッキーな状況でロボタクシーを誘導することもありますが、これらがドライバーレスモードで運転する時間の2~4%です」とヴォクトCEOは説明しています。

自動運転で客を運ぶクルーズのロボタクシー

 同CEOのコメントを裏付けるように、クルーズの広報担当者はメールによる声明の中で、RAセッションは約6.5~8kmごとに発動されると述べています。これにより、クルーズのRAセッションは約4〜8kmごとに発動されると指摘したニューヨーク・タイムズの報道は事実上訂正されました。

「ロボタクシーが意図した進路が遮られた場合(工事や迂回路など)や、対象物を特定するのに手助けが必要な場合に運営スタッフによってサポートされますが。その場合でも、RAアドバイザーはロボタクシーに道案内の情報を提供するのであって、遠隔操作するわけではありません」とクルーズの広報担当者は語りました。

クルーズ社は、「RAアドバイザーは、ロボタクシーに情報を提供はするが遠隔操作はしない」と主張しました
クルーズ社は、「RAアドバイザーは、ロボタクシーに情報を提供はするが遠隔操作はしない」と主張しました

 しかしながら、クルーズのロボタクシーへの不信は広がり続けています。Webメディア、インターセプトの11月6日の記事によると、クルーズ社内部の安全性評価資料の中で、「同社の自動運転車は特定の条件下で子どもたちを効果的に検出できず、子どもたちに特別な注意を払うことができない」ことが指摘されていたのです。その資料には、子どもが突然付き添う大人から離れたり、転んだり、自転車に乗ったり、仮装をしたりするなど、子ども中心のシナリオに関するデータがクルーズに不足していることも言及されていました。

 この件についてクルーズの広報担当モーザーは、「子どもたちは予測不能な行動をする可能性があるため、クルーズ社の車両では、特別なカテゴリーの歩行者として扱っている」と述べました。「無人車両を道路に配備する前に、シミュレートされたクローズドコース環境で厳格なテストを実施しました。これらのテストによると、子どもが関わる重要な衝突回避シナリオに関して、当社の車両が人間の基準を超えていることが示されました」

 同氏は続けて、「この夏の最新の評価に基づいて、路上で観察されたパフォーマンスから、子どもとの潜在的な衝突のリスクは、フリート走行時に4億8000kmに1回発生する可能性があると判断し、それ以来も改善してきました」と語りました。現在、道路上における、クルーズのロボタクシーと子どもとの衝突事故は起きてはいません。

クルーズのロボタクシーに記録された無人運転時の外の映像。予測困難な子どもの様子も見ることができます

 10月2日の事故や報道を受けて、クルーズは、同社のロボットカー950台をリコールすると発表。同社が開始したリコールでは、衝突検出サブシステムの無線ソフトウェアアップデートの形をとるため、今後、車両は道路脇に停車するのではなく、特定の衝突事故時に静止したままになります。

 また、クルーズのカイル・ヴォクトCEOは、11月6日に全員参加の会議を開催、従業員に対して、自動運転車の安全性に対する同社の懸念にどのように対処するつもりかを説明し、「クルーズ・オリジン」と呼ばれる完全自動運転バンの生産を一時停止することを発表しました。

生産が停止となった完全自動運転のバン「クルーズ・オリジン」
生産が停止となった完全自動運転バン「クルーズ・オリジン」

 ハンドルやペダルがない完全自動運転の「クルーズ・オリジン」は、クルーズとGMとホンダが開発で協業している無人ライドシェアサービス用車両。10月にGMの会長兼CEOのメアリー・バーラが「2026年には東京でこの車両を走行させたい」と述べたばかりの期待の自動運転車両です。11月5日まで開催されていたのジャパン・モビリティ・ショー2023でも展示され、注目を浴びました。これらのクルーズに関連したニュースを受けて、今後のホンダの対応が気になるところです。

2026年に東京を走行する予定の「クルーズ・オリジン」
2026年に東京を走行する予定の「クルーズ・オリジン」

「クルーズ・オリジン」の発表イベント、クルーズの創設者兼CEOのカイル・ヴォクトが解説をしています

ホンダがテスト走行をした「クルーズ・オリジン」

 以下が、8月にサンフランシスコで営業承認を得たロボタクシーに関する記事です

 ジャパンモビリティショーで展示された「クルーズ・オリジン」の様子はこちらの記事で

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