2023年11月15日、ルノーは11月1日に設立した50%を出資するEVや車載ソフトウエアの新会社アンペアの事業計画を発表し、2024年上期の上場を目指すとしました。アンペアの出資には、ルノーの他に米半導体大手クアルコムも参加を検討中。国内メーカーでは、日産自動車が最大6億ユーロ(約983億円)、三菱自動車が最大2億ユーロ(約328億円)を出資する計画で、両社は、アンペアとの提携を通じてEVの品揃えを増やし電動化を加速していきます。
アンペアのロゴは、人間と産業の過去を反映したルノーの象徴的なシンボルであるダイヤモンドの形から始まりました。いくつかのダイヤモンドから形成され、それぞれが独自の専門分野を持つ緊密で機敏なチームの新しい構成を示しています。
ルノーグループは、この欧州初の純粋なEVと車載ソフトウェアの新会社という新しいビジネスモデルによって、EV市場における欧州のリーダーになることを目指しています。アンペアは1万1000人以上を雇用していますが、そのうち35%がエンジニアで、ルノーブランドで高性能で安全で持続可能なEV車両を設計、開発、製造、販売しています。
欧州における中型・小型車のリーダーでもあるルノーグループは、2030年までに欧州のEV市場の75%を占めると予想されるコンパクトカー(BセグメントとCセグメント)の電動化に対応するのには有利な立場にあります。これらのセグメントのEVは、2023年から2030年にかけて年平均約25%で成長していくと予測されています。
アンペアとルノーグループのCEOでもあるルカ・デメオは「お客様と地球、そして、そこに住む人々へのコミットメントを主張するアンペアの事業計画は、ルノーグループの挑戦的な野望を反映しています」とアンペア設立の際に語りました。今回の事業計画においてアンペアは、25年までに4車種を展開し100億ユーロ(約1兆6400億円)を、31年には7車種を展開し250億ユーロ(約4兆1000億円)以上の収益を目標に掲げました。
その事業計画の中心となるアンペアのEV7車種の内、現在、5車種が発表されています。
【アンペアによる5車種のEV】
ルノー・メガーヌ・E-TECH(Renault Megane E-Tech)
2022年半ばに発売され、現在発売されているメガーヌ・E-TECHは、3万8000ユーロ(約620万円)の価格でEV市場におけるルノーブランドの位置づけを変え、新規顧客の獲得を可能にした車種です。欧州のEV市場で2.2%の市場シェアを持ち、フランスではC -EV セグメント(4.2m~4.5mサイズの大きめのコンパクトEV)においてナンバーワンとなっています。
ルノー・セニック・E-TECH(Renault Scenic E-Tech)
2024年年初頭に発売されるセニック・E-TECHは、価格約4万ユーロ(約650万円)で販売される予定の欧州ファミリーカーの未来形です。最大95%がリサイクル可能な材料で構成され、WLTPで625kmを超えるクラス最高の航続距離でありながら、すでにハイブリッド車と同等のTCO(総所有コスト)を実現しています。
ルノー5(Renault 5)
2024年第1四半期に発表される予定のルノー5は、すでに各メディアやSNSでの情報によって認知されているモデルで、1996年に生産終了となったルノーの象徴的なモデル、ルノー・5(サンク)のEV化リバイバルです。最大400kmの航続距離で、価格は購入しやすい約2万5000ユーロ(約400万円)。人工知能を搭載したバーチャルな副操縦士であるルノーのアバターが装備され、オーナーのニーズをより的確に予測し回答してくれます。
ルノー4(Renault 4)
2025年発売予定のルノー4は、商業的に成功した世界初のハッチバックとされ、世界100カ国以上で800万台以上販売されたユニバーサルカー、ルノー・4(キャトル)の電動化時代の再解釈です。AmpR Smallプラットフォームやインフォテインメントなど、ルノー5の優れた要素を生かした汎用性を持つ電動SUVとなる予定です。
ルノー・トゥインゴ・レジェンド(Renault Twingo Legend)
2023年11月15日に発表されたトゥインゴ・レジェンドは、わずか10kWh/100kmのクラス最高の効率、ライフサイクルを通じて2023年に販売される欧州の平均的なICE車よりも75%低いCO₂排出量、テールパイプCO₂排出量ゼロ、コンパクトなサイズによる原材料消費量の削減など、妥協のない目的に合った都市型車です。ヨーロッパで製造されるこの車の価格は、補助金控除前で2万ユーロ(約330万円)以下が予定されています。
これらのラインアップには第2世代としてさらに2車種追加されます。2031年には、その7車種で最大100万台を販売、市場シェアは最大10%に達するとアンペアは見込んでいます。
また、アンペアの製造ラインは、自社のラインアップだけでなく、ルノー以外のブランド向けの技術・製造・ビジネスプラットフォームとしても設計されています。そこでは、今後、アルピーヌ向けに少なくとも2車種、日産向けにマイクラの後継車となる新型コンパクトEV、三菱自動車向けに1車種を生産する予定です。
日産マイクラの後継車とされる新型コンパクトEVの告知動画