日産自動車は2023年11月24日、日産の社長兼CEOの内田誠は、英国の日産サンダーランド工場の従業員に向けて、「EV36Zero」の計画を報告、その際に、同工場で生産される3つのモデルすべてがEVになることを発表しました。サンダーランド工場を中心とした「EV36Zero」は、欧州におけるカーボンニュートラルの実現に向け、世界初の電気自動車(EV)生産のエコシステムを構築するプロジェクトです。
ここで発表された3つのEVは、欧州で人気の「キャシュカイ」と「ジューク」のEV化モデル。また、生産予定の3番目のモデルは、自動車産業の電動化の火付け役となったEV「日産リーフ」の次期型になります。
これらの3つの車両とバッテリーの生産は「EV36Zero」のマイクログリッド(電力消費者の近くに小規模な発電施設を設置、分散型電源を利用することで安定的に電力を供給するという仕組み)によって電力が賄われます。同グリッドは、日産の風力発電と太陽光発電の設備を融合し、日産と近隣のサプライヤーに100%再生可能な電力を供給する能力を有する予定です。
日産の内田誠社長兼CEOは、サンダーランド工場の従業員に向けて、「エキサイティングなEVは、カーボンニュートラル達成を目指す日産の計画の中核をなすものです。欧州の主力モデルがEVになることは、日産、産業界、そしてお客さまにとって新たな時代への加速を意味します。『EV36Zero』プロジェクトでは、英国最大の自動車工場であるサンダーランド工場を、当社の将来ビジョンの中心に据えています。したがって、当社の英国チームは将来のクルマのデザイン、設計、生産を行い、欧州における日産の完全EV化を牽引していくことになります」と述べました。
日産は、2023年9月25日に「今後、欧州に投入する新型車をすべてEVに変更し、2030年までに欧州における乗用車のラインナップを100%EVにする」と発表しました。この構想は、「2050年までに製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現する」とした、2023年11月発表の「Nissan Ambition 2030」の長期ビジョンに基づいていて、同計画の青写真通りに電動化を推し進める日産のEVシフトへの本気度が伺えます。
日産の今回の投資には、発表された2つの新型EVモデル「キャシュカイ」と「ジューク」の研究開発および生産と、英国事業および広範なサプライチェーンへの最大11億2000万ポンド(約2103億6814万円)の投資が含まれていて、設備や生産工程の改善、技能訓練、サプライヤーへの工具提供などが行われます。これは、日産が発表した「EV36Zero」の第1フェーズにおける4億2300万ポンド (約794億5154万円) の投資に続くものです。
また、今回の「EV36Zero」に関する発表は、サンダーランド工場の生産施設を革新的なものにし、世界初のEV生産エコシステムを構築する「EV36Zero」設立への、日産とパートナー各社による10億ポンドの投資プロジェクトを踏まえたものです。
「キャシュカイ」「ジョーク」2つの新型モデルの追加は、ギガファクトリーの増設やインフラ プロジェクトへのさらなる投資と合わせて、最大20億ポンドの投資となります。結果として、将来のEV版「キャシュカイ」、「ジューク」、そして「リーフ」の後継車に関する日産の計画は、英国への最大30億ポンド(約5640億1579万円)の投資につながることになり、日産の英国従業員7000名と、英国のサプライチェーンを支える3万人の人々の生活に貢献していきます。
さらに、英国政府は、日産が主導する3000万ポンド(約56億4015万円)の共同プロジェクトに1500万ポンド(約28億2007万円)の資金を提供しました。このプロジェクトは、ベッドフォードシャー州クランフィールドにある日産テクニカルセンター・ヨーロッパの技術的知見とゼロ・エミッション車の研究開発能力を強化し、将来のモデルに対する英国の研究開発投資への機会を増やすことが見込まれています。
英国のリシ・スナク首相は、「日産の投資は、英国の自動車産業に対する大きな信頼を示すものであり、すでに年間710億ポンド(約13兆3484億円)という巨額の経済効果をもたらしています。この投資により、サンダーランドは間違いなく、将来EVの技術革新と生産における英国版シリコンバレーとしての地位を確保することになるでしょう。私たちは、英国を最高のビジネス拠点にすることを、経済計画の中心に据えています。日産のような企業が英国で事業を拡大し、根を張って成長できるよう、そして明るい未来のために正しい長期的な決断を下せるよう、あらゆる面で支援していきます」と、日産への協力について語りました。