2024年3月21日、BMWは、2025年に生産が開始される新型EV「ノイエ・クラッセ」の派生モデルとして、BMWがスポーツ・アクティビティ・ビークル(SAV)と称するSUVモデルの「BMW ビジョン・ノイエ・クラッセ X」を発表しました。
BMWは、2023年9月にミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2023」においてスポーツセダンのコンセプト「BMW ビジョン・ノイエ・クラッセ」を公開、BMWの新しい電動化へのイメージを示しました。「新しいクラス」という意味のこの名称は、1962年から1972年まで発売していたセダンとクーペのシリーズから継承されました。
その後、2023年11月に日本で開催されたジャパンモビリティショーなどで、世界に向けて披露されてきたノイエ・クラッセは、2025年以降に6つのモデルが生産される計画です。BMWは、今回、そのモデルの1つとしてBMW ビジョン・ノイエ・クラッセ Xのコンセプトを発表。今後、最小限の設計変更で公道走行可能なEVとなり、2025年からハンガリーのデブレツェン工場でシリーズ生産が開始されます。
スポーティなセダンタイプのビジョン・ノイエ・クラッセがSUVになったことで、BMWビジョン・ノイエ・クラッセXは、高床式でグリルのデザインが異なる、よりアクティブでダイナミックな印象のEVとなりました。フロントには、ビジョン・ノイエ・クラッセ同様、垂直に配置された LED ライトを組み込んだ一対の LED ヘッドランプがありますが、フロント中央では、BMWキドニー・グリルが、バックライト付き縦型フレームと共に立体感のある彫刻的なフォルムを印象付けます。このヘッドライトとキドニー・グリルが連動して作り出す照明効果は、ドライバーが車両に近づくことで起動します。
リアの中心部まで横に広がるリアライトは、BMWおなじみのL字型に水平的な要素を加えたデザイン。可変式の光強度を個別に制御できる3Dプリント・エレメントが表現力豊かな効果を生み出しています。
ノイエ・クラッセは、駆動とシャーシ制御をドライバー個人のニーズに合わせてカスタマイズしてくれます。このシリーズのEVには、4つの「スーパー・ブレーン」と呼ばれる高性能コンピューターが搭載されていて、そのうちの2つが運転体験を次の次元まで導いてくれるのです。BMW開発担当のフランク・ウーバーは、この高性能コンピューターの性能を強調します。「この高性能コンピューターは、今まで個別に処理されていたものが、同時に動く高度な性能を備えています。1つ目のスーパー・ブレーンは、パワートレイン全体とドライビング・ダイナミクスを一体化させて、最大10倍のコンピューティング能力を発揮。2つ目のスーパー・ブレーンは、自動運転を大きく飛躍させます。今後は、4つの主要コントロール・ユニットを1つの高性能コンピューターに統合していきます。これにより、ダイナミックな性能、正確性、効率性、そしてBMWが掲げる駆けぬける歓びが向上します」
そして、ノイエ・クラッセには、BMWがパルスドルフで生産する新しい円筒型のリチウムイオン電池セルが使用されています。これまでBMWで使用されてきた角形リチウムイオン電池に比べて製造コストが半分で済むこの新しい電池セルは、体積エネルギー密度が20%も向上。これを800Vへ移行したシステムと組み合わせることで、充電速度が従来の電池より最大30%アップし、300kmを走るために必要な電気をわずか10分で充電することができるようになりました。
地球環境保全の視点からも、BMWはノイエ・クラッセ シリーズで、様々な試みを行っています。
BMWは、BMW ビジョン・ノイエ・クラッセ Xのインテリアのために、100%植物と鉱物由来の原料で、石油を一切使わずに製造する素材を開発。これは、ドア・パネリング下部とセンター・コンソールに使用される予定です。また、海洋プラスチックも初めて使用し、金型に流し込み高圧力で製品を作る射出成形パーツの材料に活用。BMW製品における廃棄漁網などから採取した二次原料の利用率は、特定の部品では既に30%を占めています。
ハンガリーにあるデブレツェン工場は、2025年にノイエ・クラッセの生産が開始することで、世界のBMWグループ製造拠点の中で、初めて化石燃料以外のエネルギーのみで稼働する工場となります。このように、BMWの生産の歴史においても新章の始まりを告げたノイエ・クラッセ シリーズ。SUVのBMW ビジョン・ノイエ・クラッセに続いて順次発表されるであろう4つのモデルはどのようなEVになるのか? 今からとても楽しみです。
BMW Vision Neue Klasse X gallery
BMW ビジョン・ノイエ・クラッセ Xとノイエ・クラッセが並走するイメージ動画