電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第7回
by じんべい
6月13日(現地時間)に2024年テスラ株主総会が実施されます。今年の株主総会はテスラCEOのイーロン・マスク、またテスラ投資家にとってはかつてないほど重要な株主総会と考えられています。なぜでしょうか?
その理由は、今回提示されている議題に対する投票結果によって、テスラ株価が大きな影響を受ける可能性があるからです。
今回の株主総会に先立ち、イーロン・マスクに対する総額560億ドルの報酬パッケージについて、株主による再承認を求める投票が行われています。 この報酬パッケージを巡っては2018年の株主総会で承認されましたが、その後、一部の株主が高額すぎるとして取り消しを求めて提訴。デラウェア州の裁判所は今年1月、原告側の主張を認め、この報酬パッケージの取り消しを命令しました。
この決定により、マスク氏は当初予定していたテスラのストックオプションの権利を失いました。つまりは、彼が過去6年間でテスラに無報酬で尽くしたということになります。
様々なメディアによって取り扱われているこのマスク氏の560億ドルという巨額の報酬プランですが、そもそも2018年に設定されたCEO業績賞では、授与された当時はイーロンにとって何の価値もありませんでした。イーロン・マスクが利益を得たのは、その後しっかりとテスラの業績が改善し、株主が利益を得ることができたからです。
また2018年のCEO業績賞は、テスラ側からしたらCEOイーロン・マスクを自社に引き留め、やる気を引き出すために設けたとも言えます。マスク氏が仕事に対する報酬を受け取る唯一の機会は、10年間にわたって株主に変革的な成長と並外れた価値をもたらすことでしたが、彼はそれを6年足らずで成し遂げました。それにもかかわらずマスク氏は金銭的には報われなかったということです。いやむしろ、裁判所の後出しジャンケンとも言える決定によって報酬プランが反故となってしまったのです。
これによってテスラ社員、テスラ株主の多くはイーロン・マスクが今後テスラの事業発展に取り組む情熱を失ってしまうのではないかと懸念しています。
マスク氏は、以前Xへの投稿で、
「(自分が)およそ25%の議決権を持たずに、テスラを AI とロボット工学のリーダーに成長させることに不安を感じている。影響力を持つには十分ですが、私の権限が覆らないほどではない。そうでない限り、私はテスラ以外で製品を作りたいと思う。(後略)」
このように述べています。つまりは自分に25%の議決権を得られるまでの報酬プランを認めてくれないと、テスラにとってこれから基幹ビジネスともなり得る AIやロボティクス事業を社外に持ち出して、そこで製品を作ると半ば脅迫ともとれる発言をしているわけです。
イーロン・マスクはもちろんテスラはプライベートカンパニーではなく、パブリックカンパニーでありそのようなことは難しいこととわかっていますが、それほどデラウェア州裁判所の判決に対して憤慨しているということです。もしこのままマスク氏が、テスラから報酬を得られずにテスラ株保有率を高めることができなかったら、今後テスラに費やす自身の労働リソースを減らし、スペースXや昨年新設したxAIで自分が興味を持つことがきて、かつ正当な対価をもらえる会社で多くの時間を過ごすことになるでしょう。
現在のテスラ株価には「イーロン・プレミアム」が乗っていると考えられています。イーロン・プレミアムは何かというと、イーロン・マスクの存在や彼がテスラに与える影響に対する投資家の期待に基づく補正項目のことを指します。つまり、テスラ株価には、イーロン・マスクのビジョンの実現可能性や、彼が率いるテスラが将来的に成長し、革新を続ける可能性に対する投資家の信頼が含まれているため、その分割高になっているということです。
ですので、もし6月の株主総会で報酬プランが承認を得られず、その結果としてイーロン・マスクがテスラに失望し、CEOを辞任するという事態となれば、テスラの株価は急落する可能性があります。それを何とか阻止しようと、テスラの取締役会は株主にマスク氏の報酬プラン再承認を促すために、あの手この手で投票を呼びかけています。
取締役会は、テスラ愛好家に人気のヒューマノイド・オプティマスを利用した投票方法のマニュアルも作り公開しているほどです。
筆者もテスラ株は保有しており、イーロン・マスクなしではテスラという企業の将来の大成長はないと思っています。ですので、先日自身がテスラ株を保有しているSBI証券にて投票を行いました。当初は米国外の株主による投票はできないと認識していましたが、Xのフォロワーさんから日本の証券会社でも投票可能と聞き、教えてもらった方法でテスラ株主としての議決権行使を行いました。
筆者はSBI証券の問い合わせフォームから行いましたが、午前中に問い合わせフォームに記入し送信。その日の夕方までにはSBI証券から議決権行使手続きを承ったという旨の返信がありました。
(注意)すでにSBI証券での2024年テスラ株主総会における議決権行使の受付は終了しています。
一方、SBI証券と並んで国内大手のネット証券の楽天証券では6月6日(木)までにメールにて議決権の行使書類を提出すれば、代理行使できるようです。
その方法は2つあり、一つは次の方法でWebで申請するやり方。
① 楽天証券のカスタマーセンターに連絡する
② テスラ株議決権の行使がしたいと伝える
③ 以下の指定フォーマットを受け取り、記入し提出する
こちらが楽天証券から送られてくる米国株主総会議決権行使における事務手続きに関する同意書です。
楽天証券でテスラ株主としての議決権行使方法の2つ目は、楽天証券カスタマーセンターに電話をし、メールで同意書を受け取り、記入の上、メールで書類を送るやり方です。
<楽天証券に同意書を送ってもらう方法>
① 楽天証券カスタマーセンター( 03 6739 3333 )に電話する
② 音声ガイダンスが流れるので、2を押す
③ オペレーターが出たら、テスラ株主総会にて議決権を行使したい旨を伝える
もしテスラ株を楽天証券でお持ちで、テスラ株主総会で自身の議決権を行使したい場合は、ぜひ上記のいずれかの方法で行ってみてください。ただ、先述したように期限が6月6日(木)までということなので注意してください。
本記事を読んでまだ投票に間に合う方は、テスラの行末を大きく左右する2024年株主総会に参加されてみてはいかがでしょうか。
メインカット:出典:テスラ公式ウェブサイト
文・じんべい
日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約1万3000人。 X(Twitter)フォロワー数:約7000人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。