テスラの「サイバートラック」が、高級車市場で驚異的な売上を記録しています。米国の自動車評価会社ケリー・ブルーブック社の最新の調査によると、サイバートラックは7月も引き続き、米国における10万ドル以上の車種で最も売れている車となりました。
ケリー・ブルーブックは、1926年に設立された自動車業界で最も信頼される情報源の一つです。約1世紀にわたり、消費者や自動車業界に対して、車両の評価や市場動向に関する客観的なデータを提供してきました。同社の調査結果は、自動車市場の実態を反映する重要な指標として広く認識されています。
サイバートラックの平均販売価格は11万1018ドル(約1640万円)で、同じく10万ドル以上で販売されたGMCハマーEVピックアップ(11万1242ドル)をわずかに下回りましたが、販売台数では上回りました。
注目すべきは、この結果がサイバートラックの「ファウンデーションシリーズ」と呼ばれる限定生産モデルのみで達成されたことです。ファウンデーションシリーズは、サイバートラックの初期生産モデルであり、テスラが新車種の立ち上げ時に採用する戦略の一環です。この限定モデルは、最新の技術や高級仕様を備えており、通常、より高価格で販売されます。テスラはこのアプローチを通じて、初期の生産ラインの最適化と品質管理を行いながら、ブランドの価値を高めています。
この戦略により、サイバートラックは一般向けの大量生産を開始する前から、高級車市場で強力な存在感を示すことに成功しています。業界関係者の間で大きな注目を集めているのも、このためです。テストドライブの機会が限られている中でのこの成績は、サイバートラックの潜在的な人気の高さを示しています。
一方で、米国市場全体では、フォードFシリーズとシボレー・シルバラードが依然としてトップセラーの座を維持しています。Fシリーズの平均取引価格は6万7000ドル以上、シルバラードは6万ドル以上となっており、高級車市場の裾野の広がりを示しています。
ケリー・ブルーブックの自動車業界アナリスト、エリン・キーティング氏は、「米国市場の多様性が、サイバートラックのような革新的な高級車の成功を可能にしている」とコメントしています。同氏は「高価格帯の車種が注目を集める一方で、消費者には予算に応じた多くの選択肢がある」と付け加えました。
テスラの今後の生産拡大計画により、サイバートラックの販売台数はさらに伸びる可能性があります。ファウンデーションシリーズの成功を受けて、テスラは一般向けモデルの生産を拡大し、より幅広い価格帯で車両を提供することが予想されます。
提供元:Tesla, Inc.