EVファンに注目される A PITオートバックス東雲の魅力
東京湾岸エリアに位置するA PIT AUTOBACS SHINONOME(以下、A PITオートバックス東雲)は、近年、EVオーナーたちの間で注目が高まってきています。このスポットが、なぜEVファンを集める引力を持っているのか? 今回、A PITオートバックス東雲でEVを担当するカーライフコンサルタントの村石崇さんに詳しくお話を伺いしました。
オートバックスセブンが運営するA PITオートバックス東雲は、1997年6月に開業した「スーパーオートバックス東京ベイ東雲」をリニューアルし2018年11月29日にオープン。敷地面積1万3649m2(2万4129坪)、売場面積2256m2(682坪)、駐車台数295台、ピット台数38台という規模を誇るオートバックスグループのフラッグシップ店舗です。A PITの名前の由来は、訪問客ひとりひとりに「あなた」にとっての「PIT」サービスの提供を目指すということから「A PIT(あ ぴっと) AUTOBACS SHINONOME」と名付けられました。現在、A PITオートバックスは、東雲店と京都四条店の2店舗で展開されています。
では、A PITオートバックス東雲は、何故そこまでEVオーナーに支持されているのでしょう? 村石さんによると、A PITオートバックス東雲が支持される理由は大きく5つあるといいます。これらの5つの理由は、国内のEVオーナーが求めるニーズについてのヒントにもなりそうです。
今回、お話をお聞きしたのは、A PITオートバックス東雲内の「ヒョンデモビリティラウンジ 東京ベイ東雲」。村石さんは、日々、ここを訪れるお客への接客も担当しています。
「EVに興味を持って、 A PITオートバックス東雲へ立ち寄っていただいくお客様の中にも、まだ、『EVに注目しているのは少数派なのではないか』と考えている人が多いです。しかし、実際に店舗で試乗をしてみると、テスラ、ボルボ、フォルクスワーゲン、ヒョンデ、BYDなど、EVとすれ違うことも多くて『結構たくさんの人がEVに乗っているんだね』という言葉をよくいただきます」と語る村石さん。現在、A PITオートバックス東雲の来店客の2割程度が、EVオーナーではないかとのこと。では、EVファンやオーナーは、何を求めて、A PITオートバックス東雲に集うのでしょう。
1. EVに初めて触れる試乗会の拠点
まず第一に、A PITオートバックス東雲には、EVに初めて触れる試乗会やイベントを実施するスポットとしての役割があります。同店には、2023年5月にオープンした、前述のヒョンデのポップアップ試乗拠点「ヒョンデモビリティラウンジ 東京ベイ東雲」や、2023年10月にスタートしたBYDの開業準備室「BYD AUTO 東京ベイ東雲」があり、これらの拠点をもとに定期的にEVの試乗会やイベントが開催されているのです。
特に、テスラ、ヒョンデ、BYDのEVに実際に乗ることができる「体感試乗会」は、月に1度、2日間開催のペースで実施。同試乗会には、通常2日間で20〜30名のEVに興味を持つ人たちが参加します。
村石さんによると、この体感試乗会を含め、A PITオートバックス東雲でのEV試乗に予約を入れる客層は多様です。現在、教習所に通っていて「免許を取ったら一台目に最先端のEVを購入したい」と思っている20代前半の人から、今まで多くの車を乗り継いできていて、軽井沢の別荘でセカンドライフを送りながら「人生最後の車はEVにしたい」と考えている70代の車好きの人まで、 様々な層のお客が来店します。
「EVの試乗や購入相談に来られるお客様の最近の傾向は、誰かに強く勧められた訳ではないけれど、携帯電話からスマホへ買い替えた時のように、『本当にいいものなのであれば、乗ってみたい』という考えで、日頃からEVが気になっているという人が多いです」と村石さん。
「自宅充電を設置できたり、マンションや職場の近隣に定額の充電サービススポットがある人など、生活環境にEVがぴたりとハマるお客様は、脇目も振らずEVを選ぶ傾向にあります。実際にEVに試乗することで、その静かな走りや内装の上質さに惚れ込む人も多数います。もちろん、EV特有の走り出しの良さもアピールポイント。想像を超える加速体験で、興奮気味に試乗を終えられるお客様も多いです」と村石さんは、EVの魅力を発信する試乗拠点としての成果を強調します。
2. EVメーカーのサービスとメンテナンスの拠点
そして第二に、A PITオートバックス東雲には、EVメーカーのサービスとメンテナンスの拠点としての機能が充実しています。
2019年5月にテスラのサービスセンターがオープンし、昨年には、前述のヒョンデモビリティラウンジがスタートしました。同ラウンジは、Webサイトだけでの申し込みに不安を抱くユーザーに向けた、ヒョンデの試乗や、カラーサンプルによる色味の確認、また、実際にインターネットでの新車注文をサポートしてもらうこともできます。
A PITオートバックス東雲では、テスラやヒョンデの純正オプションの選択肢だけでなく、オートバックスならではのアイテムやサービスなどの提案も実施しています。「オートバックスオリジナルのボディコーティングサービスや、専門メーカーのフロアマットを紹介することもできます。また、EVは、エアコンによって航続距離が変わってくるので、断熱等のフィルム施工などを望まれるお客様も多いですね」と村石さんは語ります。
メンテナンスにおいても、様々な種類のEVに関して、信頼できる相談拠点があることは、大きな安心感につながります。
「EVの場合、車内の電装品などに関しても、従来の町の修理工場では対応できない場合も多く、EVを受け入れることができる当店に遠方から来店される方もいます」と村石さん。特にヒョンデについては、純正の診断機を設置しているので、診断機で判断できる範囲のほとんどのトラブルに関して、A PITオートバックス東雲などの一部のオートバックスの店舗で対応が可能となっています。これは、同社店舗ならではの強みともいえます。
ヒョンデなど、EVの点検作業や簡単な修理ができる
テスラのサービスセンターは、2019年にオープン
3.充実したEV充電サービス
そして、三番目の理由は、充実した充電サービスです。A PITオートバックス東雲には、2019年設置のテスラ・スーパーチャージャーがあり、2023年11月には、プラゴの急速充電器や普通充電器も導入されています。各設備が設置されている同店舗駐車場は、1時間まで駐車料金が無料なので、充電スポットだけでも気楽に利用することが可能。近隣のマンションに住むEVオーナーにも、日常的に活用されています。
A PITオートバックス東雲では、ふらりと立ち寄って急速充電が可能
現在、自宅の近隣にある充電設備の充実は、都市部のEVオーナーにとって重要なポイントとなっています。「都内にはマンションにお住まいの方など、自宅に充電設備を持たないEVオーナーも多いんです。そういった方々にとって、信頼できる身近な充電スポットの存在は欠かせません」と村石さんは指摘します。
さらに、村石さんは充電時間の活用についても言及しました。「EVの充電では、急速充電でも30分程度かかることが多いです。その時間を無駄にしたくないという声もよく聞きます。当店では、その時間を買い物やカフェでの休憩に充てることができ、お客様からも好評です」
店舗に併設しているカフェで気楽に時間を過ごすことも
また、充電設備の種類が豊富なことも大きな特徴。「テスラのスーパーチャージャーとプラゴのCHAdeMO対応の、30kW出力の急速充電器を備えています。また、6kW出力の普通充電器も用意していますので、あらゆるタイプのEVやニーズに対応できます」と村石さんは説明します。
4. EV関連アイテムやサービス
四番目の魅力は、EVに特化したカーグッズの販売です。A PITオートバックス東雲では、EVオーナーのニーズに応える専用のアイテムやサービスを豊富に取り揃えています。
「EVは通常の車とは異なるニーズがあります」と村石さん。「例えば、静音性をさらに高めるための防音マットや、航続距離を伸ばすための断熱フィルム、いろいろな車種のEVに適合するキャリアなど、EVライフをより快適・便利にする商品を多く取り扱っています」。
村石さんによれば、これらの商品は単なるアクセサリーではなく、EVライフの質を高める重要なアイテムだといいます。「EVオーナーの方々は、車を単なる移動手段としてではなく、生活の一部として捉える傾向が強いです。そのため、車内での快適性や利便性を高めるアイテムのニーズが高いんですね」。
またテスラのカスタムコーナーが用意されているのも、A PITオートバックスならでは。車種を問わず国内外のEVをカスタムしたいというニーズにも対応できます。
5. EVについての情報収集の拠点
そして、5つ目の特徴は、EVに関する情報収集拠点としての機能です。店内にはTSUTAYA BOOKSTOREとスターバックコーヒーからなるBOOK & CAFÉが併設されており、そこでは、EVをはじめとした車に関する書籍や雑誌を購入できます。
「EVは技術革新のスピードが速く、常に新しい情報が出てきます。そのため、最新の情報を得たいというニーズが強いんです。当店では、EVに関する専門書も豊富に取り揃えています」と村石さん。
さらに、A PITオートバックス東雲は、EVオーナー同士の交流の場としても機能しています。オフ会やイベントで集まったEVオーナーの間では、EVに関する貴重な情報交換も行われます。そして、同店にEV充電器が設置されていることも重要です。「充電中にカフェでくつろぐお客様同士で会話が弾むこともよくあります。EVオーナーならではの情報交換の場にもなっているんですよ」と村石さんは語ります。
進化するA PITオートバックス東雲
村石さんが指摘するこれらの5つのポイントは、A PITオートバックス東雲にEVオーナーが集まる理由であるとともに、現在の国内EV市場が求めているサービスのあり方ともいえます。そこでは、最新技術に対応できる設備や体制とEVならではの新しいライフスタイルの提案が求められているようです。
また、EVの普及に伴い、A PITオートバックス東雲に求められるサービスも大きくなると、村石さんは感じています。「店舗としてもEVに関する対応力を、より強化していきたいです。EVには、従来のガソリン車とは異なる技術が使われていますから、整備やメンテナンスのノウハウを蓄積し。将来的には、あらゆるメーカーのEVに対応できる体制を整えたいと考えています」と村石さん。
そして、A PITオートバックス東雲は、新しいモビリティ社会の在り方を提案する場所としての役割も担っていきたいと村石さんは語りました。「当店は単なる車の整備や販売の場所ではなく、EVライフを楽しむための総合的な拠点を目指しています。充電中の時間を有効活用できるサービスや、EVオーナー同士の交流の場など、これからも新しい取り組みを続けていきます。お客様にも、A PITオートバックス東雲でEVライフの新たな喜びを発見していただきたいですね」
(Photo by Saya Hayashi)