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ホンダ・日産、経営統合へ。EV競争激化で持ち株会社設立へ。三菱自の参画も視野に

 ホンダと日産自動車が、経営統合に向けた協議を本格化させていることが明らかになりました。

 日本経済新聞や朝日新聞などは、2024年12月18日、ホンダと日産が経営統合に向けた協議に入ると報道。両社はそれぞれ「将来的な協業についてさまざまな可能性を含めた検討を行っている」とコメントを発表し、日産は「更新情報があれば適切な時期にステークホールダーに知らせる」としています。

 統合スキームとしては、持株会社の設立が検討されており、その傘下に両社が入る形での調整が進められています。さらに、将来的には三菱自動車の参画も視野に入れており、実現すれば、トヨタとフォルクスワーゲングループに続く年間販売台数800万台を超える世界第3位の巨大自動車グループが誕生することになります。両社は近く覚書(MOU)を締結し、統合比率などの詳細な協議に入るとされています。

 日産とホンダは、既に2024年3月からEVを中心とした電動化・知能化分野での業務提携の検討を開始しています。具体的な協業分野としては、SDV(Software-Defined Vehicle)向けプラットフォームの共同研究、電池技術の共通化、EVの駆動装置「イーアクスル」の共通化、車両の相互補完、国内充電サービスの共同展開などが示されています。8月には、次世代SDV向けプラットフォームの領域において、基礎的要素技術の共同研究契約を締結するとともに、戦略的パートナーシップ深化に関する覚書を締結。そこに三菱自動車も参画しました。

ホンダの三部敏宏社長
ホンダの三部敏宏社長

 この統合構想の背景には、世界的な自動車産業の構造変革があります。特に、テスラや中国新興EVメーカーの台頭により、従来の競争環境が大きく変化。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2035年までに世界の新車販売の50%以上がEVになるとされており、この変化への対応が急務となっています。

 両社の技術的強みを見ると、ホンダは高効率なハイブリッド技術で世界第2位のシェアを持ち、日産は2010年に世界初の量産型EV「リーフ」を投入するなど、電動化技術で先行しています。統合により、これらの技術資産を効率的に活用し、開発コストの削減と競争力の強化を目指すものとみられます。

日産の内田誠社長
日産の内田誠社長

 また、中国市場での競争激化も、統合を加速させる要因となっています。2024年1〜11月期の販売実績では、ホンダが前年同期比30.7%減、日産が10.5%減と苦戦。BYDをはじめとする現地EVメーカーの台頭により、両社の市場シェアは大きく低下するなか、中国では2024年にEVを含む新エネルギー車の販売比率が40%に達する見込みです。

 特に日産自動車の経営状況は厳しさを増しています。中国市場での販売不振に加え、重要市場である米国でも販売が伸び悩んでいます。開発面では新車投入のスピードが競合他社に比べて遅れており、特に米国市場で需要が高まっているハイブリッド車(HV)の品揃えが不足している状況です。

 日産は長年の課題であったフランスのルノーとの資本関係を2023年に見直すことに成功しましたが、これによるコスト削減効果は期待ほど得られていません。さらに2023年11月には、厳しい経営状況を受けて大規模なリストラ策を発表。世界の生産能力を20%削減し、従業員の約1割にあたる9000人規模の人員削減を実施することを決定しました。

米国で65万台以上販売されている日産のリーフ
米国で65万台以上販売されている日産のリーフ

 このような状況下で、日産はホンダとの関係強化が経営立て直しの重要な選択肢になると判断したとみられます。両社の統合により、開発コストの分担や生産設備の効率的な活用が可能となり、厳しい国際競争を勝ち抜くための体制強化につながると期待されています。

SALOON
ホンダ、次世代EVシリーズ「Honda 0」の「サルーン」

 統合後は、EVの基幹部品や車載ソフトウェアの共通化、電池供給体制の整備など、具体的な協業を加速させる計画です。特に、ホンダが投資を進めている電池生産設備を日産と共有することで、投資効率の向上も期待されています。

 世界的に見ても、GMと現代自動車、BMWとトヨタ、リヴィアンとVWなど、次世代モビリティに向けた新たな連携の動きが相次いでおり、この統合構想は日本の自動車産業の将来を左右する重要な転換点となる可能性があります。

 メイン画像:2024年8月に次世代SDVプラットフォームの共同研究契約を締結した日産の内田誠社長(左)とホンダの三部敏宏社長(右)

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