ホンダの中国における四輪車生産・販売合弁会社である広汽本田汽車有限公司(広汽ホンダ)は、2024年12月23日、中国・広東省広州市に建設した新エネルギー車(NEV)専用工場「広汽ホンダ開発区NEV工場」の稼働を開始したことを発表しました。同工場は年間生産能力12万台を誇り、ホンダの中国市場向けEVブランド「e:N」シリーズや、2024年度に投入予定の次世代EVブランド「烨(イエ)」シリーズの生産拠点となります。
新工場は、高効率化とスマート生産を実現するため、最新の生産技術を全面的に採用。プレスと溶接工程における部品搬送の完全自動化を実現し、物流要員をゼロにすることに成功しています。さらに、ホンダとして初となるAIによる溶接強度検査システムを導入。組立工程においても約30%を自動化し、生産効率の大幅な向上を図っています。
環境面での取り組みも注目点です。工場内に設置された総出力22メガワットの太陽光発電システムにより、年間約1.3万トンのCO2削減を見込んでいます。また、新開発の低VOC(揮発性有機化合物)塗料の採用や、工場排水の有害物質を100%処理できる設備の導入など、環境負荷の低減に向けた様々な施策を実施。特にVOC排出量については、広東省の基準値に対して70%以上の削減を目指すという意欲的な目標を掲げています。
この新工場は、ホンダが掲げる2035年までに中国市場でのEV販売比率100%という目標達成に向けた重要な生産拠点となります。同社は2027年までに10車種のEVを中国市場に投入する計画を進めており、約34.9億元(約752億円)を投資したこの新工場がその中核を担います。
現在約700人の従業員を擁する同工場では、既存のe:NP2に加え、2024年度から投入される新ブランド「烨(イエ)」シリーズの生産も予定されており、ホンダの中国EV戦略における重要な役割を果たすことが期待されています。
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