CES 2025でトヨタが披露した、新しいモビリティの実験場「ウーブン・シティ」
トヨタ自動車は、米ラスベガスで開催中のCES 2025において、富士山麓に建設中の実験都市「ウーブン・シティ(Woven City)」の第1フェーズが完了し、2025年秋より正式運営を開始することを発表しました。
豊田章男取締役会長は基調講演で、「ウーブン・シティは単なる居住空間ではなく、人々が新しい製品やアイデアを発明・開発できる場所です」と語り、モビリティの未来を切り開く実験都市としての本格始動を宣言しました。
日本初のLEEDプラチナ認証を取得
静岡県裾野市の旧トヨタ自動車東日本東富士工場跡地に建設されているウーブン・シティは、環境に配慮した人間中心の設計が評価され、日本初となるLEED for Communitiesのプラチナ認証を取得しています。住民は「ウィーバー(織り手)」と呼ばれ、新技術やサービスの実証実験に参加します。この呼称には、トヨタの創業時の事業である自動織機にちなんだ意味が込められています。
新たなイノベーションの担い手「ウーブン・バイ・トヨタ」
ウーブン・シティの運営を担うウーブン・バイ・トヨタ(以下WbyT)は、世界60カ国以上から集まった2200人のチームメンバーを擁し、自動運転技術、自動車ソフトウェア開発プラットフォーム「Arene OS」、さらにはデジタルツインプラットフォームの開発を手がけています。中でも注目されているのがVision AIと呼ばれる技術の開発です。これは、ビデオデータ分析と人工知能を組み合わせ、人や物体の動きをより深く理解することを目指すもので、トヨタはウーブン・シティでの実証実験を通じて更なる発展が期待されるとしています。
ウーブン・シティの住民受け入れと将来展望
ウーブン・シティは、当初、トヨタとWbyTの社員とその家族を中心に約100人が第1期住民として共創活動に参加し、その後、外部パートナー企業の社員や研究者が加わり、段階的にコミュニティを拡大します。
第1フェーズでは、約5万平方メートルの敷地に約360人が居住。フェーズ2以降も含めた総人口は約2000人となる見込みです。当初は関係者のみで、2026年度以降は、一般の人々もウィーバーとして共創活動に参加できるようになります。
最終的には約2000人が居住する予定のウーブン・シティ
4つの重点研究分野と最新技術
ウーブン・シティでは、「人」「物」「情報」「エネルギー」の移動という4つの分野に焦点を当てた研究開発が進められます。豊田会長は、自動運転車やドローン配送、家庭用ロボット、空飛ぶ車など、様々な未来技術の実証実験が行われることを明らかにしました。
パートナー企業との協業では、ダイキン工業、日清食品、UCCジャパンなど、すでに複数の企業がプロジェクトへの参画を表明しています。2025年夏からは、スタートアップ企業を対象としたアクセラレータープログラムも開始される予定です。
ドローンで撮影されたウーブン・シティの全貌
地上から宇宙へ、拡がるモビリティの定義
豊田会長は「モビリティの未来は地球だけに限定されるべきではない」と述べ、WbyTによるインターステラテクノロジズへの出資を発表しました。この提携により、トヨタは、同社の製造技術とノウハウを活かしたロケット量産体制の確立を目指すとしています。
トヨタは、ウーブン・シティを地上から宇宙まで包含する新しいモビリティの実験場として、同社が進化していくための重要な拠点と位置付けています。
トヨタは、次世代モビリティとしてロケットの量産を目指すことも発表
Toyota Woven City Gallery
CES 2025でのトヨタのプレスカンファレンス