電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第23回 by じんべい
こんにちは、じんべいです!
テスラが中国市場でのFSD導入を視野に入れ、本格的に動き始めたのではないかというビッグニュースが飛び込んできました。テスラは2025年2月25日、中国のテスラ車向けソフトウエアの最新アップデートにより、市街地向け運転支援機能(NOA=ナビゲート・オン・オートパイロット)を配布スタートしました。これによって運転者モニタリング用の車内カメラ、最新バージョンの地図が追加されることになります。リリースに関する現地ユーザーのSNS投稿を見ると、現在のバージョンは13.2.7とされています。

これは、アメリカで展開されている最新のFSDとほぼ同等とされていますが、テスラは正式に「FSD」という名称を使用していません。実際のところ、北米で提供されているFSDに似てはいるものの、先述のとおり、オートパイロットの延長という位置づけにとどまり、「完全自動運転機能」という表現を避けています。これは、テスラがまだ中国の規制に対応する最適な方法を見つけられておらず、政府からの承認も得られていないためと考えられます。
とはいえ、新たなソフトウェアを利用し始めた中国のテスラ車オーナーによると、新機能は中国の交通ルールや道路状況に適応し、すでに高い性能を発揮しているようです。そこで今回は、この中国向けに提供が始まったFSD類似機能について、現在判明している機能を詳しく見ていきましょう。
中国でリリースされたFSDライクな機能とは?
ソフトウェアアップデートの詳細を確認すると、中国向けのFSD類似機能は「市街地向け運転支援機能」として、都市部の道路での自動運転支援に特化していることがわかります。具体的には、通行が制御された道路やランプの出入り口がある主要道路、さらに都市部の一般道において、車両を自動で誘導します。交差点やランプの出口では、ナビゲーションルートに基づき、直進・左折・右折に加え、Uターンまで実行可能です。また、速度や道路状況に応じた車線変更にも対応し、ナビでルートが設定されていない場合でも、実際の道路状況を考慮して最適なルートを選択できるようになっています。
また、SNSにアップされた映像を見てみると、単なる運転支援ソフトを超え、北米版FSDの性能そのものにかなり近いものという印象を受けます。ただし、自動駐車や後退(バック)機能はまだ搭載されていないようですね。
現時点では、現時点では、自動運転がほぼ可能なレベルですが、中国ユーザーの声によると、完全なハンズオフ運転はまだ実現していないようです。実際、利用者がハンドルに軽く手を添えながらFSDを使用している映像も確認されています。北米のようにハンドルから完全に手を離し、目線だけを道路に向けて自動運転を楽しめるレベルに達するには、もう少し時間がかかりそうですね。
そして気になる価格は、今回の機能をアップデートできるとされている「FSD知能補助運転機能」の価格が6万4千人民元(約8800ドル、日本円で約130万円)と、かなり高額です。しかも北米のようなサブスクリプション形式はまだなく、買い切りでの販売のみとなっています。ちょっと手が出しづらい価格ですが、現時点の機能でその価値があるのか、ユーザーの声も気になりますね。
中国版FSD類似製品のユーザーレビュー:良い点と課題
さて、ここからは実際に中国版FSDライクな機能を試したユーザーたちの声をまとめてみました。良い点と課題をチェックしていきましょう。Xに投稿されている中国ユーザーの意見を収集し、整理してまとめました。そこから浮かび上がった良い点と課題を、それぞれ詳しくお伝えします。
良い点:期待を超えるスムーズさと人間らしさ
- スムーズで安定した運転
2時間の試乗でも危険を感じることなく、安心して乗っていられる走行性能だと評価されています。「シルクのように滑らか」とまで表現されるほど人間らしい運転で、他の中国製システムとは一線を画しているようです。
- 歩行者や電動バイクへの対応
歩行者や電動バイク、違法駐車車両を慎重かつ自然に回避する能力が素晴らしいとこちらも高評価です。
- アグレッシブで効率的
「スイフト」モードでは迅速な加速と効率的な走行を実現し、幹線道路の流れをスムーズにキープできるとされています。
- Uターンや駐車機能の進化
Uターンはまだ完全ではないものの実行可能になっています。まだ完全ではないですが、駐車も目的地近くでスペースを探して自動で試みる機能が確認されています。
- ゲートやラウンドアバウトもお手のもの
住宅地のゲート認識や環状交差点を熟練ドライバーのようにスムーズに通過する能力も高く評価されています。
- 自信に満ちた運転
ベテランドライバーのような堂々とした走行スタイルが特徴的となっています。
課題:まだ完璧じゃない部分も…
- Uターンの精度不足
3回中1回しか成功せず、Uターン可能な場所を誤認して交差点で待機してしまうこともあるようです。
- 駐車機能の未完成
空きスペースがないと縁石近くで不自然に停止したり、後退機能がないせいで住宅街で動けなくなる場面が確認されています。
- 違法駐車への対応が遅い
迂回はできるけど、違法駐車車両の後ろで長く待ってしまう傾向があるようです。
- ドライバー監視が過敏
ちょっと視線が逸れるとすぐ警告が鳴り、ステアリングのトルクが強すぎるのも気になるポイントだと指摘されています。
- バスレーンや信号認識の課題
バスレーンや自転車レーン、信号の認識精度が低く、交差点での車線選択にも改善の余地ありとのことです。
総評としては、「期待以上だけど、もう一歩」といった感じでしょうか。ユーザーからは「期待以上の出来栄え」との声が多く、複雑な中国の交通環境でも予想を上回るパフォーマンスを発揮しています。特にスムーズさや歩行者対応力は抜群で、「失敗するだろう」という発売前の懸念を見事に覆しました。
ただ、Uターンや駐車、後退機能の不在、細かい認識ミスなど、実用レベルにはもう少し磨きが必要なようです。今後のアップデートでこれらが改善されれば、工事現場や田舎道でも頼れる存在になる可能性大ですね。
予想以上のスピードで進むテスラのAI 戦略

上記は、昨年末にテスラのAIチームが発表したFSD関連機能のリリースロードマップをもとに、筆者が今回の最新情報を加筆したものです。今後の展望としては、中国での正式なFSD導入と、ヨーロッパ市場への展開が期待されます。
さらに、第3四半期にはテキサス州オースティンでロボタクシーのサービス開始も控えています。最新の情報によると、テスラは昨年末にカリフォルニア州で配車サービスを提供するため、州公益事業委員会に運送許可を申請したとのこと。もし承認されれば、今年中に北米の複数の地域でロボタクシーの導入が進む可能性が高まっています。
最後に:今後の中国版FSD正式リリースに注目!
中国でのFSD類似機能のリリースは、正式なFSD導入への布石となり、テスラの自動運転技術が世界へ広がる第一歩といえるでしょう。ユーザーからは高評価の声が多い一方で、課題も指摘されており、さらなる進化が期待されます。
現在、イーロン・マスク氏はDOGE関連の業務で多忙を極めていますが、その間もテスラのAIチームはタスクを着実にこなし、その優秀さを示しています。
ヨーロッパでのFSD展開や、テキサスでのロボタクシー実現が待ち遠しいですね。テスラが現地の規制に迅速に対応し、政府の承認を得ることで、中国のテスラオーナーに正式なFSDが提供される日を楽しみに待ちたいと思います。

文・じんべい
日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約2万2600人。 X(Twitter)フォロワー数:約9600人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。