テスラが中国でのスマート運転システム(FSD相当の市街地向け運転支援機能)の性能向上のために、中国の検索大手バイドゥと協力していることが明らかになりました。ロイター通信が2025年3月13日に報じたところによると、バイドゥは最近、エンジニアチームをテスラの北京オフィスに派遣し、バイドゥの地図情報をテスラのスマート運転システムとより効果的に統合する作業を進めているとのことです。
情報筋によると、バイドゥの地図チームのエンジニアたちは数週間前からテスラの北京オフィスで、車線の区分けや信号機などのナビゲーション地図情報を、テスラのフルセルフドライビング(FSD)バージョン13ソフトウェアにより上手く統合するための作業を行っているといいます。
この取り組みは、より正確で新しい地図情報を活用することで、FSD V13の中国の道路環境に対する理解を向上させることを目的としています。テスラは2月25日に中国の対象車両に対してソフトウェアアップデート2024.45.32.12の配信を開始し、FSDに似た高度なスマート運転機能を追加しましたが、FSDという言葉は使用していません。

米国では、FSDは最新のナビゲーション地図を必要とせず、人工知能(AI)のローカルトレーニングにより技術の運転パフォーマンスが向上します。しかし中国では、テスラは中国のデータ法により、同国内の200万台の電気自動車(EV)からのデータを使用してシステムをトレーニングすることができないため、状況が異なります。
テスラは中国でのスマート運転機能の性能向上に向けて、独自の課題に直面しています。中国はデータの国外流出を許可しておらず、また米国政府のチップ禁輸措置により、テスラが中国国内に大規模なコンピューティングセンターを構築することも妨げられています。
中国の現地メディア「LatePost」は2月25日の報道で、テスラが2月初めに米国本社から一部のエンジニアを中国に派遣し、成熟したバージョンのFSDをローカルに展開し、アルゴリズムを最適化したと伝えています。これにより、データを国外に移動させることなく、中国でのFSDのパフォーマンスを可能な限り向上させることができるとしています。
同日、マスクCEOは自身のXで、中国でのFSDのパフォーマンスに関する投稿に対し、テスラがインターネット上で公開されている中国の道路や標識の動画を使用してFSDをトレーニングしたと回答しています。
高度運転支援システム市場における中国企業との競争が激化する中、テスラがこの技術的課題をどのように克服し、中国市場での競争力を維持していくのか、今後の展開が注目されます。