Media Research Center(MRC)の分析によると、イーロン・マスク氏に対する主要メディアのネガティブ報道率が96%に達し、トランプ大統領への92%を上回っていることが明らかになりました。
MRCは米国の3大ネットワークABC、NBC、CBSの夕方のニュース番組を1月20日から4月9日まで分析しました。トランプ大統領に関する899件の報道のうち、92.2%がネガティブで、わずか7.8%がポジティブであったのに対し、テスラCEOのマスク氏に対する報道はさらに批判的で、ネガティブ報道率は96%に達していました。
MRCの調査担当者リッチ・ノイエス氏はFOXニュースのインタビューで、「トランプ大統領に対する今期のメディア報道は、2016年の初当選時と比べてさらにネガティブになっている」と述べています。一方で、マスク氏への報道はさらに厳しいものとなっています。

興味深いことに、トランプ政権で最も厳しい報道を受けているのは国防長官ピート・ヘグセス氏で、ABC、NBC、CBSの夕方のニュース番組では100%がネガティブな内容だったとMRCは報告しています。マスク氏はトランプ政権との関わりが主に政府効率化局(DOGE)を通じてであるにもかかわらず、96%という高いネガティブ報道率となっています。
マスク氏とテスラは以前から厳しいメディア報道に慣れていますが、この状況を受けてマスク氏はテスラの2025年第1四半期決算説明会で、DOGEの日常業務から離れる意向を表明しました。「5月から、DOGEへの時間配分を大幅に減らします。大統領が望み、それが有益である限り、週に1〜2日は政府関連の業務に時間を割き続けると思いますが、来月からはテスラにより多くの時間を割り当てる予定です」とマスク氏は述べています。

テスラは第1四半期に売上が前年同期比9%減少し、利益は71%も減少する厳しい業績となりました。特に自動車部門の売上は20%減と大幅に落ち込んでいます。こうした業績悪化の背景には、マスク氏の政治的立場や活動に対する批判から起きた抗議活動の影響があると分析されています。

CNBCの調査によれば、アメリカ人の約半数がテスラとマスク氏に対して否定的な見方をしており、テスラ購入を「考えない」と答えた米国人の割合は昨年の27%から32%に増加しています。特に民主党支持者やリベラル層の間でテスラのブランドイメージが大きく低下していることが、EVの主要顧客層の離反につながっていると見られています。

マスク氏のDOGEからの部分的撤退表明を受け、テスラの株価は時間外取引で約4%上昇しましたが、同社の株価は年初来で40%以上下落し、12月のピーク時から約50%も減少しています。メディアによるネガティブな報道が企業イメージや業績に与える影響の大きさを示す事例として、マスク氏とテスラの状況は注目されています。
今後、マスク氏がテスラにより多くの時間を割くことで業績回復につながるのか、また政治的活動の縮小がメディア報道の傾向にどのような変化をもたらすのか、引き続き注目されます。

