テスラのイーロン・マスクCEOは2025年7月28日、韓国サムスン電子から半導体を調達する165億ドル規模の契約を結んだと発表しました。テスラの自動運転技術の中核となる次世代AI半導体の安定調達を目指します。契約締結のニュースを受け、サムスンの株価は一時6.8%上昇し、昨年9月以来の高値をつけました。
マスク氏はXへ「サムスンのテキサス新工場がテスラの次世代AI6チップ生産に専念する予定」とポスト。AI6はテスラの自動運転用人工知能(AI)チップで、2ナノ級プロセスで製造される予定です。
この新施設は、テスラのギガテキサス工場から車でわずか40分の距離に位置しており、戦略的な立地選択となっています。テスラはサムスンとAI6チップの製造について165億ドルの大型契約を締結しましたが、マスク氏は「この数字は最低限のもので、実際の生産量は数倍になる可能性が高い」と述べています。
AI6チップは、現在主力のHardware 3(HW3)やHardware 4(HW4)の後継となる次世代自動運転チップです。将来のテスラ車両全般に搭載される予定で、同社が開発を進めるヒューマノイドロボット「オプティマス」でも使用される見込みです。テスラはHW1のMobileye製、HW2/2.5のNVIDIA製を経て、HW3で初の自社設計チップを導入しており、AI6はその進化系として位置づけられます。

サムスンの新施設は2026年に稼働開始予定で、テスラの急速な事業拡大を支える製造拠点として期待されています。この提携により、テスラは次世代自社設計チップの安定供給を確保し、米国内での半導体製造能力の強化にも貢献することになります。
AI半導体需要の急拡大により、業界1位のTSMCには顧客が殺到し価格は上昇し続けています。今年に入りサムスンは1.4ナノ量産を2年先送りし、2ナノプロセスの完成度向上に注力する戦略に転換していました。


