テスラの新型6人乗りモデルY「モデルYL」が、中国市場での発売初月となる2025年9月に8221台を販売し、中国の中大型SUVセグメントで4位にランクインする快挙を達成しました。CNEVPostが報じています。
2025年9月に納車を開始したばかりのモデルYLは、わずか1カ月で8221台を販売しました。中国乗用車市場情報連席会(CPCA)のデータによると、モデルYLは中大型SUVカテゴリーで4位。上位3車種は、シャオミの「SU7」が2万2244台で1位、理想汽車(Li Auto)の「L6」が1万1827台で2位、零跑汽車(Leapmotor)の「C16」が8312台で3位となっています。

モデルYLは、従来のモデルYをベースに中国市場向けに最適化された車両です。最大の特徴はホイールベースの延長で、特に後部座席の居住性が大幅に向上しています。中国市場では後部座席の広さが購入決定の重要な要素となることが多く、この改良は市場のニーズに直接応えるものです。
価格設定も戦略的で、モデルYLの価格は従来のモデルYとほぼ同等に設定されており、追加の居住空間を実質的に無料で提供する形となっています。この価格戦略により、競合する中国国内ブランドのSUVに対して強力な競争力を持つことができました。
ターゲット顧客層は、主に家族を持つ30代から40代の中間所得層以上です。環境意識が高く、テクノロジーに精通し、ブランド価値を重視する傾向がある層に向けた設計となっています。

中国の中大型SUV市場では、理想汽車や問界(AITO)などの国内ブランドが強力な製品ラインナップで市場をリードしてきました。しかし、テスラは独自の競争優位性を持っています。
まず、テスラのブランド力は中国市場でも非常に高く、特に都市部の若年層や中間所得層以上の消費者から強い支持を得ています。技術面でも、バッテリー技術、自動運転機能、Over-The-Air(OTA)アップデートによる継続的な改善など、テスラの技術的強みは競合他社との差別化要因となっています。
さらに、テスラは上海に大規模な生産拠点「ギガ上海」を擁し、現地生産による迅速な供給体制とコスト競争力を実現しています。
市場アナリストは「モデルYLの初月販売は好調なスタートに過ぎません。認知度が高まり、口コミが広がるにつれて、販売台数はさらに増加する可能性があります」との見方を示しています。モデルY Lの成功は、テスラが市場の声に耳を傾け、柔軟に製品戦略を調整できることを証明しました。