電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第42回
by じんべい
こんにちは、じんべいです。
2025年12月第3週の週末、アメリカから飛び込んできたあるニュース。皆さんはもうチェックされましたか? これは単なる「停電トラブル」ではありません。自動運転の未来、そして覇権争いの行方を決定づける、象徴的な出来事だと私は感じています。
今日は、サンフランシスコで起きた「ある事件」と、テキサスで目撃された「幽霊のような車」の話から、ウェイモとテスラの現在地、そして未来について深掘りしていきたいと思います。
暗闇のサンフランシスコで起きたこと
事の発端は、12月20日土曜日の午後。サンフランシスコ市内を大規模な停電が襲いました。 信号機が消え、街の明かりが落ちる。交通量の多い交差点は、一瞬にしてカオスと化しました。
その時、Google傘下の自動運転車「ウェイモ(Waymo)」はどうなったと思いますか?
なんと、交差点の真ん中で立ち往生してしまったんです。
信号からの情報を失い、どう動いていいかわからなくなったウェイモは、そのままフリーズ。結果として、ただでさえ混乱している交差点で大渋滞を引き起こす原因となってしまいました。この影響で、ウェイモはサンフランシスコ湾岸地域での無人配車サービスを一時停止せざるを得なくなりました。

では一方で、同じ時、同じサンフランシスコの道を走っていたテスラのFSD(Full Self-Driving)はどうだったでしょうか?
答えは「何事もなく走り続けた」です。
騒ぎ立てることもなく、ニュースの見出しになるようなトラブルも起こさず、ただ淡々と。人間がそうするように、停電した交差点の状況を見て、譲り合い、カオスをまるで「公園の散歩」のように軽々と処理してのけたのです。
この事態を受け、イーロン・マスクはX(旧Twitter)でこう投稿しました。
「テスラのロボタクシーはサンフランシスコの停電の影響を受けなかった」
この一言にすべてが集約されています。 なぜ、これほどまでに結果が分かれたのか? それは偶然ではありません。両社が採用している「自動運転へのアプローチ」が、根本的に異なっているからなのです。
「重装備のウェイモ」vs「裸眼のテスラ」:戦略の決定的違い
ここで少し、技術的な話をさせてください。ここが今回の話の「キモ」です。 なぜウェイモは止まり、テスラは動けたのか。それは、「何を見て、どう考えて走っているか」の違いにあります。
ウェイモのアプローチ:地図とセンサーの要塞
ウェイモのアプローチは、言ってみれば「用意周到な優等生」です。 彼らの車には、屋根の上にクルクル回る高価なライダー(LiDAR)や、多数のレーダー、高精細なカメラが重装備されています。そして何より重要なのが、「高精度な3Dマップ(地図データ)」です。
ウェイモは、あらかじめスキャンされた完璧な地図データと、現実の風景を照らし合わせながら走ります。「ここに信号があるはず」「ここの車線はこうなっているはず」という事前の正解データ(秩序)に強く依存しているんですね。 だからこそ、今回のように停電で信号が消えたり、地図データと異なる「想定外の事態(無秩序)」が起きると、AIは判断に迷い、安全のために停止することを選んでしまうのです。
テスラのアプローチ:生物模倣の「純粋な視覚」
対するテスラのアプローチは全く異なります。 テスラ車には、高価なライダーも、事細かな3Dマップも搭載されていません。頼るのは、車体の周りに配置された8〜9台のカメラと、脳みそであるAI(ニューラルネット)だけです。
これは私たち人間と同じです。私たちが初めて通る道や、信号が壊れた交差点を運転できるのはなぜでしょうか? それは「目」で周囲を見て、「脳」で状況を判断しているからです。 「信号は消えているけど、対向車が譲ってくれているな」「歩行者が渡りそうだな」——テスラのAIは、何十億マイルもの実走行データで訓練され、この人間のような直感的判断を学習しています。
ウェイモは「秩序」を前提とし、テスラは「無秩序(カオス)」を前提としている。
サンフランシスコで信号が消えた瞬間、この設計思想の違いが、残酷なまでの「実力差」として現実に現れました。温室のようなシミュレーションではなく、何が起こるかわからない現実世界においては、テスラのアプローチこそが「正解」であると証明された瞬間だったと言えるでしょう。
オースティンに出現した「幽霊」:モデルY ロボタクシー
さて、テスラの勢いはこれだけではありません。先週、テスラの本拠地であるテキサス州オースティンで、驚くべき光景が目撃されました。

それは、公道を走るテスラのモデルY。一見何の変哲もない車両ですが、近づいて中を覗き込むと……誰もいないんです。
運転席はもちろん、助手席すらも空っぽ。 まさに「透明人間」が運転しているかのように、ステアリングがひとりでに動き、車はスムーズに交通の流れに乗っています。 これまでは、テスト走行といえども万が一のために運転席にスタッフが座っているのが常でした。しかし、今回撮影された映像は、正真正銘の「完全無人(Unsupervised)」です。
さらに別の目撃情報では、テスラのスタッフが「後部座席」にだけ座り、前席を無人にした状態でテスト走行を行っている姿もXに投稿されています。

イーロンもこれらの映像に対し、X上で反応を示しました。つまり、ロボタクシーの完全無人テストが、水面下で(いや、もはや公然と)進行していることを認めたわけです。
思い出してください。12月初旬、イーロンはxAIのイベント動画に出演した際、こう語っていました。
「無人運転の問題はほぼ解決している」
「約3週間後にはオースティンで、テスラのロボタクシーが無人運転、しかも助手席に誰も乗っていない状態で運行される予定だ」
今回の目撃情報は、まさにこの発言通り。 12月末と言われている「完全無人ロボタクシー」の正式な実施に向け、準備は驚くほど順調に進んでいることの証明です。
「数」がもたらす破壊的未来
現在、テスラロボタクシートラッカーの情報によると、オースティンで稼働しているロボタクシー(Cybercab含むテスト車両)の数は32台、カリフォルニアのベイエリアでは128台とされています。
今「え、たったそれだけ?」と思いましたか?
特に32台という台数は、広いオースティン全体をカバーするには、正直心許ない数字です。実際に配車を頼んでも、待ち時間が長くなり、実用レベルとは言いにくい可能性があります。ユーザー体験の面では、まだ改善の余地があるでしょう。

しかし、ここからがテスラの恐ろしいところであり、ウェイモとの決定的な違いが再び顔を出します。
先ほどお話しした通り、ウェイモは高価なセンサーと事前の地図作成が必要です。エリアを拡大するには膨大なコストと時間がかかります。
一方、テスラはどうでしょうか?
カメラとAIチップさえあればいい。 現在、世界中の工場で年間180万台規模で生産されているテスラ車のほとんどが、ソフトウェアのアップデート一つで「ロボタクシー」になり得るポテンシャルを秘めているのです。
今の32台、128台といった台数は、あくまでテストフェーズの数字に過ぎません。 一度「安全性」と「無人化」のGOサインが出れば、この数字は倍、さらに倍……いや、桁違いのスピードで増殖していきます。 来年の第1四半期には100台、200台、あるいはそれ以上が一気に街に放たれる可能性も十分にあるでしょう。
まとめ:歴史の転換点に立って
現時点での「無人タクシー」の稼働台数だけを見れば、まだウェイモに先行を許しているように見えるかもしれません。 しかし、その中身、技術の拡張性、そしてコスト構造を見れば、勝負はすでについているのかもしれません。
カオスを克服したテスラのAIと、量産可能なハードウェア。 この2つが組み合わさった時、世界中の交通システムは根底から覆ることになります。
サンフランシスコの停電は、その未来を暗示する狼煙(のろし)だったのかもしれません。 早く、完全無人ロボタクシーが当たり前のように街を走り回り、私たちがその恩恵を受ける日が来るのを見たいですね。
次は「無人ロボタクシー、正式サービス開始!」というビッグニュースをお届けできることを期待して、引き続き情報を追っていきましょう。

文・じんべい
日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約3万人。 X(Twitter)フォロワー数:約1万人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

