スペースXのイーロン・マスクCEOは2026年10月19日、自身が保有するスペースX株を来年、米国のすべての子どもに1株ずつ贈ると自身のXで表明しました。「これは多くの取り組みの最初の一つになる」とも述べていますが、配布の具体的な方法は明らかにしていません。
前週金曜日の終値146.03ドルで計算し、対象を「18歳未満の男女全員」とすれば、その人数は約7200万人。贈与総額は約105億ドル相当になります。マスク氏の資産規模からみれば一部にすぎませんが、個人による株式贈与としては前例のない規模です。マスク氏は6月30日時点でスペースX株の48.4%を保有しています。なお、スペースXは今年6月に上場を果たし、857億ドルを調達して史上最大の新規株式公開となりました。
今回の発言には伏線があります。直前にAI企業のアンスロピックが、自社株の5%を新設する公益ファンドに拠出し、企業価値の上昇に応じて比率を引き上げる可能性もあると発表していました。マスク氏はアンスロピックのX投稿に対し、株は一般の人々に直接渡すべきだと返信し、自身はそうするつもりだと述べていました。テック企業の株式を社会にどう還元するかという議論のなかで、「直接配る」という最もシンプルな形を打ち出した格好です。
一方で、詳細はまだ何も示されていません。対象者の条件、実施時期、規制当局の承認、そして株式を直接本人に渡すのか信託を通すのかといった点は不明です。贈与が株式である以上、税務上の扱いも課題となります。未成年者は通常、証券口座を自分名義で開設できないため、受け取りの仕組みづくりも大きなハードルになりそうです。

