by EVcafe編集長 駒井尚文 @tesla365days
話題のBYDシールに試乗、どんなEVだったのでしょう?
このところ、BYDが元気です。本気で日本市場を獲りにきています。毎日のように、色んなメディアがBYDに関する記事を掲載しているので、これは一度、BYD車に乗ってみなくてはと思っていました。そんな折、BYDジャパンがプレス向けに試乗車を用意するという情報を得たので、この機会を利用してBYDの4ドアセダン「シール(SEAL)」に試乗してみました。ライトブルーのRWDモデルです。
ちなみに私は、最近のICE車には明るくないのですが、EV歴5年のテスラオーナーです。なので今回のインプレッションは、テスラー目線での試乗記ということになります。
試乗したのは2024年6月某日の夕方。原宿のBYD特設イベントスペースをスタートし、明治通り→首都高→竹芝桟橋→首都高→新宿区というルートを小一時間ほどドライブしました。
シールの良かった点は?
まずは良かった点について、箇条書きで行きます。
ドアハンドルがせり出してくる
テスラのモデルSとかモデルXと同じような仕様です。ふだん埋まっているU字型のドアハンドルがリモコン押すとせり出してきます。友人・知人に自慢するポイントその1です。
タッチスクリーンが90度回転
ポイントその2は、タッチスクリーンが縦位置と横位置を選べる点。しかも、電動でギュイ〜ンって動きます。子どもが喜びますよね。
静粛性が素晴らしい
EVはエンジンがないので、どんな車でもICE車に比べれば静かです。でも、シールはとりわけ静粛性に優れていると感じました。私がふだん乗っているハイランドM3LR(モデル3ロングレンジ)と遜色ないレベルです。
居住空間が広々している
居住空間が広々しているはM3よりも優れていると感じました。後でサイズを示しますが、特に後部座席はM3よりも明らかに足下が広いです。
内装デザインがシックになった
同じBYDでも、ATTO3なんかはちょっと内装がケバいですよね。その点、シールはより上品で全般的にシックな感じになっています。
ルーフのガラスが解放感満点
ルーフのガラスが一枚もので、継ぎ目がありません。これは、解放感でM3より勝ります。後部座席の人が喜びます。羨ましい。
ヘッドアップディスプレイに未来を感じる
シールに乗って驚いた点、それはスピードメーターがフロントガラスに投影されるところです。つまり、ヘッドアップディスプレイ(HUD)が標準装備。個人的にHUDは初体験でしたので、普通に興奮しました。しかも便利です。テスラのM3やMYだと、タッチスクリーンにしかメーターがないので、スピードを確認する際に必ず視線がずれてしまいます。でも、このHUDなら視線がずれません。逆に、ステアリング奥のメーターパネルは要らないじゃんって思ったのも事実です。
BYDシールの微妙な点とは?
続いて、微妙だなあと思った点も。
ガジェット感が今ひとつ
タッチスクリーンの操作性が今ひとつで、あまりサクサク動かせなかった。ここがちょっと残念でしたね。テスラのタッチスクリーンには、ナビ機能やオーディオ機能に加え、走行中の各種設定(ヘッドライトとか、ウィンカーとか、温度調節とか、オートパイロットとか、とにかく色々な設定)が機能的に配列されています。シールの場合は、一部のアイコンが何のメニューを示すのか分かりにくく、操作にとまどう場面がありました。まあ、慣れが必要ですね。
カーナビのUIが見づらい
タッチスクリーンがギュイーンって回転するのは面白いんです。けど、実用的にはあんまり意味がない。ナビが縦位置、横位置で切り替えられるのは一見便利に見えますが、どっちの位置にしてもナビの地図表示がやや煩雑です。ふだん、iPhoneやアンドロイドで地図アプリ使い倒している人からすれば、UIが洗練されているとは感じないでしょう。
サイズが意外にデカい
これは一番意外だったポイントですが、シールはモデル3よりデカいんです。
BYD シール:全長×全幅×全高=4800×1875×1460mm(ホイールベースは2920mm)
テスラ モデル3:全長×全幅×全高=4720x1850x1440mm(ホイールベースは2875mm)
ね? けっこう大きいんですよ。都市部のマンションなどにお住まいの方は、車庫に入るかどうか、まず確認してください。
シールに乗ってみて感じたことまとめ
こうやって原稿にまとめてみると、良い点の方が勝っていますよね。しかし、テスラーが乗ったとしたら、私と同じように残念な印象を抱くと思います。それは端的に言ってしまえば、CPU、GPUなどのプロセッサーの性能と、アプリケーションが結構プアーなところが要因です。そう、繰り返しますが、ガジェット感が乏しい。ガジェットじゃなくて、自動車だなあって。
でも、例えばプリウスあたりから乗り換えると、「へえー」ってなるかも知れません。シールの内装や操作系は、一般的な国産車(日本車)のUI、質感にけっこう近い印象です。ステアリング上についているボタンとか、センターコンソールにあるシフトレバーの感じとか。物理キーやPOWERスイッチもそう。国産車からだと、何の抵抗もなく、操作に戸惑うことなく乗りこなすことができると思います。
シールのトランクは400リットルの容量
今回の試乗では、充電は未経験、フル加速も未経験。電費とかも測っていません。1時間ほど走ってみて感じたザックリの印象です。経済性や運動性能については脇に置いた、あくまで筆者の個人的なインプレッション。
BYDのモデルでは、先行する「ドルフィン」「ATTO 3」に続き、このシールが日本市場に投入された3番目の乗用車になります。それ以外にも、大型や小型のEVバスもすでに日本の道路を走っています。今もっとも勢いのあるEVメーカーの1つだと断言できます。
ちなみに、私がBYD車で一番期待してるのは「シーガル」です。来年あたりに日本上陸の噂もあります。価格やサイズ次第ですが、シーガルは、ガチで日産サクラと勝負できるEVになるんじゃないかって思っています。シールとはまた全然違う乗り味が期待できそうで、大注目です。早く乗ってみたい。