自動運転

ガイドライン作りを日本が主導、自動運転とEVバッテリーの国連基準が合意に

 スイス・ジュネーブの国連欧州本部で、2024年6月25日から28日にかけて開催された第193回自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において、自動運転車の安全ガイドラインとEVバッテリーの耐久性能に関する新たな国連基準が合意されました。この動きは、日本が主導的役割を果たし、グローバルな自動車産業に大きな影響を与えると期待されています。

日本が提案した自動運転とEVバッテリーに関する国連基準とは?

 日本が提案し、共同議長国として主導した自動運転システムの安全ガイドラインでは、以下の主要点が定められました。

1. 交通法規の遵守

2. 人間ドライバーと同等以上の安全性確保

3. 通常時、危険時、不具合時の各シナリオに対応する能力

4. 乗員へのシステム状況の適切な通知

これらの要件は、製造者の安全管理体制、各種テスト、シミュレーション、実環境での試験などを通じて評価されます。

 国土交通省によると、今回の自動運転のガイドラインの基となっているのは、同省が2018年に策定した「自動運転車の安全技術ガイドライン」。日本は、同ガイドラインを2019年に国連に提案、5年間に及ぶ調整の結果、本年ようやく国連基準としての合意という形で身を結びました。

 また、日本が専門分科会の下部組織において共同議長を務め、国内のEVバッテリーに関する研究結果を活用、参加国の調整を取りまとめてきたのが「EV 等のバッテリー耐久性能の国連基準」に関するガイドラインです。

 ここでは、EV普及の障壁となる粗悪なバッテリーを排除し、適切な交換時期を判断できるよう、新たな国際基準も策定されました。

1. バッテリー容量劣化度(SOCE)の規制値設定(乗用車:5年/10万km時に80%以上、8年/16万km時に70%以上、小型貨物車:5年/10万km時に75%以上、8年/16万km時に65%以上)

2. バッテリー劣化状況を示すモニターの搭載義務化

この基準は、3.5トン以下の乗用車と小型貨物車のEVおよびプラグインハイブリッド車に適用されます。

WP.29副議長を務める猶野室長(左)とWP.29における議論の様子(右)
WP.29副議長を務める国土交通省の猶野室長(左)、WP.29における議論の様子(右)

 さらに、日本の提案による「ペダル踏み間違い時加速抑制装置の国連基準」案も了承され、2024年11月の次回会合で採決される予定です。

 一方で、日本メーカーの型式指定申請における不正事案に対し、各国から懸念が示されました。今後、日本の自動車業界には、信頼回復と再発防止に向けた取り組みが求められています。

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