テスラが開発を進めている次世代スポーツカー、ロードスターのデモが、再び延期されることになりました。2025年11月6日、イーロン・マスクCEOは株主総会の場で、ロードスターの発表イベントを2026年4月1日に開催する計画であると明らかにしました。従来の「年内にデモ」という予定から、3〜4カ月ほど遅れることになります。
新型ロードスターは2017年に初公開され、航続距離1000km超、0-100km/h加速2秒未満といった圧倒的な性能を掲げて多くの注目を集めました。当初は2020年の市場投入を予定していましたが、その後たびたび延期され、現在に至っています。マスク氏は近年、「ロードスターは空を飛ぶ」「ジェームズ・ボンドの車よりもクレイジーな技術を搭載する」と語っており、真偽を含めて期待と話題を呼び続けています。
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航続距離1000km超、0-100km/h加速2秒未満を掲げるテスラ新型ロードスター(写真提供元:Tesla, Inc. )
今回の発表でマスク氏は、「これまでお見せしてきたものとは大きく異なる内容になります。成功するかどうかに関係なく、最もエキサイティングなデモになると思います」と述べました。一方、生産開始は発表から12~18か月後になるという見通しも明かしました。したがって、2027年4月以降、遅ければ2028年の市場投入になる可能性が高くなっています。
株主から懐疑的な反応が出ると、マスク氏は「秘密は話せませんが、失望はさせません」と自信を示しました。また、2017年に25万ドル(約3800万円)を前払いした創業者シリーズの予約者をデモに招待することも説明しています。この予約金は、結果としてテスラへの長期貸し付けとなっており、8年を経てようやく実車を目にすることになります。
ただし、市場環境は初公開当時から大きく変化しています。現在、電動ハイパーカー市場では複数のメーカーが記録を塗り替えています。たとえば、シャオミの「SU7 Ultra」はスマートフォンメーカーである同社が短期間で開発したモデルにもかかわらず高い評価を受けています。リマックの「ネヴェーラR」はブガッティ・シロン・スーパースポーツよりも速い加速性能を示し、ロータス「エヴァイヤX」はニュルブルクリンクで歴代3位のタイムを記録しています。さらに、BYDの「ヤンワン U9 Xtreme」は時速308マイル(約495km)に到達し、量産車として世界最速となりました。
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一方、テスラは最近、車体下部のファンによって車を地面に押し付ける「ファンカー」技術を特許申請しています。ただし、マスク氏が発言してきた「空を飛ぶ」能力は、スポーツカーとしての性能向上にはつながらないとの指摘があります。スポーツカーはグリップ力を高めるため、空力的なダウンフォースを重要としていますが、浮上はむしろその逆となるためです。デモでは浮くパフォーマンスが披露される可能性があるものの、量産車には不要と見られています。
ロードスターは、テスラがEV技術の先端を示す象徴的な存在として期待されています。しかし、度重なる延期によって競合が先行していることは否めません。今回の新たなスケジュールにより、初公開から11年後の市場投入となる可能性が浮上しています。
テスラが再び世界を驚かせることができるのか。2026年4月の発表が楽しみです。
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