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価格3億円! 0-100km/h加速1.81秒の世界最速 EV ”リマック・ネヴェーラ”が日本初上陸

by EVちゃんねる らいあん

 日本発信型の本格派オークションハウス、BINGOとレーシングスポーツブランド ARTAは、クロアチアのEVメーカー、Rimac Automobili(リマック・アウトモビリ)の市販車モデル「NEVERA(ネヴェーラ)」を、2023年9月13日に、ARTAが東京・新木場に構えるコンセプトストア「ARTA MECHANICS & INSPIRATIONS」で日本初公開しました。

 ネヴェーラは、まだまだスーパーカーやハイパーカーのセグメントが少ないEVとしては、ハイパーカーセグメントの中でもっとも早く日本に上陸した一台となりました。

 世界150台限定で生産されるこのネヴェーラの価格は200万ユーロ(日本円で約3億1600万円!)にもかかわらず、すでに日本でも注文が入っており、リマックとしても日本は特に注目している市場とのこと。では、このパイパーカー、ネヴェーラがどのようなEVなのか、詳しく見ていきましょう。

リマックってどのような会社?

 リマックは、2011年にマテ・リマックによってクロアチアで設立されました。それまでに車を作った歴史がなかったクロアチアでは、このリマックが初のカーメーカーでした。

メイト・リマック
マテ・リマック

 リマックは、リマック・グループというグループ会社の元でブガッティ・リマックとリマック・テクノロジーという2つの会社を運営しています。

 ブガッティ・リマックは、シロンやヴェイロンで有名なブガッティ・オートモビルと、今回日本にデビューしたネヴェーラを製造するリマック・アウトモビリとの合弁会社で、ハイパーカーセグメントを担当している会社です。ブガッティ・オートモビルとリマック・アウトモビリの両者はハイパーカーセグメントにおいて協力はしますが、統合というかたちではなく共存するイメージ。ブガッティ・リマックに対しては、ポルシェも出資しており、ポルシェが他の会社に出資するのは初めての事だそうです

 

 一方でリマック・テクノロジーはバッテリー技術や自動運転機能などのテクノロジーを他の自動車メーカーに提供することを目的に設立された会社です。

では、ネヴェーラってどんなクルマ?

 出力は1914馬力、2360Nm、 0-100km/hの加速力は1.81秒、最高時速は412km/h(350km/hに制限)、航続可能距離は490km、日本での価格は3億円以上と、数字を上げるだけでもモンスター級のクルマです。

 

 NEVERAは日本語ではネヴェーラと発音し、クロアチア語で「強力な嵐」という意味です。新しく自動車業界に参入したメーカーがクルマを初めて作るときには、テスラが最初のロードスターをロータスベースで作った時のように、既存のクルマのパーツを流用して作ることが多くあります。しかし、リマックは独自のパーツを作ることにこだわり、5年ほどかけてスクラッチから作られました。唯一他の車とシェアされているパーツはタイヤとエアコンの一部のみとなります。

 バッテリーは120kWhのバッテリーを搭載しています。バッテリーのレイアウトは一般的なEVの場合は床下にフラットに敷き詰めるクルマが多いものの、ネヴェーラはH型に敷き詰めることによって座面を低く設定することが可能になっています。世界各国でその国に対応した仕様にするというネヴェーラですが、充電の規格はCHAdeMO充電に対応する予定とのことです。

 0%から80%までの充電時間は350kwで25分、500kwで19分です。350kwと聞いて「日本ではテスラですら実現していない出力数ではないか」と思った方もいるかと思いますが、ヨーロッパでは、すでに500kwの急速充電器でテスト済みということです。

 また、ネヴェーラの回生ブレーキは300kwで強力な回生ブレーキを発生します。 回生ブレーキ時には0.6Gの減速力がかかり、ブレーキングで最大1.2Gを発生させます。また、バッテリー残量が少なくなると出力が弱くなるのがEVの特徴でもありますが、ネヴェラは30%のバッテリー残量のときでも1500馬力発生させることができます。

 駆動形式は四輪駆動でモーターは各車輪に1つずつついています。リマック社が開発した理想的なトルクを4つそれぞれのタイヤに伝えるトルクベクタリングがついていて、一秒間に100回以上モニタリングされます。

 このクルマはスクラッチから作られたということでかなりユニークな点が多いですが、具体的にどのような特徴があるかを見ていきましょう。

エクステリアデザイン

 全体的なデザインとしては高級感を出しつつもハイパーカーらしいクレイジーなデザインではなく、あまり誇張せずガソリン車に近いようなデザインになっています。

 空力を制御するためにネヴェーラには4つの可動フラップが付いています。フロントにはボンネットのところに一つとフロントノーズのところにもう一つついています。リアには大きなカーボンファイバー製のウイングとリアディフューザーが可動します。

 ライトのデザインは前後ともにLEDバーが伸びているようなデザインですがこちらもハイパーカー特有のとても攻めたデザインではない印象があります。

 現在のトレンドとしてフロントのグリルを排除してフラットな形にするのが主流になってきていますが、ネヴェーラは高出力のモーターやインバーター、モーターを冷やすためにガソリン車のスーパーカーやハイパーカーのようなグリルを備えています。

 全体的に垣間見えるグリルやダクトの中にはインバーター、モーター、バッテリーに対してそれぞれ独立したクーリングシステムがあります。クーリングシステムは前に3つ、後ろに2つあり、フロントの助手席側にはフロントモーター用のものが、ドライバー側にはフロントインバーター、真ん中のボンネットにはバッテリー用のクーリングシステムがあります。

 グリルやダクトが多く見受けられるにも関わらず空気抵抗を示すCD値は最低0.3を実現しています。

 クロアチアで生まれたこのクルマはクロアチアの歴史も反映されています。サイドのデザインは前から後に空気が流れるところがネクタイのようなデザインになっていますが、これは17世紀のナポレオンの時代にネクタイはクロアチアの兵隊にとってのアイデンティティであり強さを象徴するものだったということで、その当時のクロアチアの軍の軍服を思い起こされるようなデザインになっています。

 

 サイドの特徴的なこととしてはカーボンファイバーのパーツのところにあしらわれたLEDのバーです。こちらは日本の法律的に走行中に公道で使用することはできないものの、加速するときや充電しているとき、また、ドライブモードによって違う色に変化します。自分のお気にいりの色にもカスタマイズすることができます。

 また、カメラがサイドピラーのところについていますが、こちらはドライビングセッションの記録用に使われたり、センターディスプレイに360度カメラとして映像を映し出すことができます。ネヴェーラには合計13個のカメラが付いています。

 リアのデザインもフロント同様カーボンの大きなパーツがバンパーカバーとして使われています。

 ネヴェーラを上から覗くとリアガラスがありますが、通常ガソリン車のスーパーカーやハイパーカーであればここはエンジンになっているところが、ネヴェーラはトランクになっています。容量は100Lしかなく物をほとんど持ち歩くことはできないため、完全にドライビングエクスペリエンスにフォーカスしたクルマだということがここからもわかります。ちょっとしたイースターエッグ(おまけ要素)としてはガラスのところに「ICE BREAKER」と印字してあります。これはICEは内燃機関(Internal Combustion Engine)という意味もあり、内燃機関からのお別れという意味とかけあわせているのがわかります。なお、リアトランクのガラスはソフトクロージング機能がついています。

インテリアデザイン

 内装はシンプルかつ高級感が出ている内装です。基本はカーボンファイバーやアルカンターラを使用していて、使われる素材の一つ一つがオリジナルなため、かなりこだわりが見える内装になっています。

 ドライバーシートに座るとまず車内に入りやすいということを感じます。通常であればガソリン車のスーパーカーやハイパーカーは外部と座席の間にあるスペース、通常ドアシルが厚くて入りにくいことがありますが、ネヴェーラは車内に入りやすいように設計されています。これはドアを頑丈にすることやハイパーカーなどによくある冷却用のパイプを前後にクーリングシステムを分けることでシルの幅を削除できました。

 席に座ると比較的柔らかいシートと程よく飛び出たサイドボルスターに体が包まれるかのような感覚があります。長時間乗っても疲れなさそうなシートでした。

 車内には飛び出したダイヤルが3つあります。ハンドル左にはギアセレクターがあり、センターディスプレイ上の2つのダイヤル手前と奥で独立して動く仕様になっています。左側はドライブモードとトラクションコントロールやトルクベクタリングを調整 するもので、右側は前後のモーター出力を調整するものです。ネヴェーラは4輪駆動ではあるものの、これらのダイヤルによって前後のモーターの出力トルクを調整することができ、100%前輪駆動や後輪駆動などにすることができます。

 センターのダイヤルから少し目を下にやるとセンタースクリーンがありますが、こちらのスクリーンはパッドでも操作ができます。ネヴェーラはスクリーンでエアコン調整をおこないます。

 センタースクリーンしたにはスイッチがたくさんあり、ウインドウの調整やアクセルリフター、フォグライトシートコントロールなどを行うことができます。

 インテリアのストレージスペースについても触れておくと、高速で曲がっても倒れないように設計されたカップホルダーは運転席と助手席のあいだに、そして肘掛けの下にはワイヤレス充電を備えたスマホホルダーがあります。グローブボックスは助手席のところにありますが、簡単なもので書類を挟む程度のスペースしかありません。

 車内にもカメラが2つついており、こちらは先程紹介した13このカメラのうちの2つです。こちらのカメラはドライバーのレコーディングや道路の状況などをレコーディングすることができます。また、ドライバーに向いているカメラは顔認証がついていてドライバープロフィールを選ぶことができます。

 助手席にはディスプレイがついており、 スピードと消費電力を表示することができます。

 今回の発表は日本のEVにおけるハイパーカーセグメント導入の第一歩だったと言えます。移動のためのEVだけではなく、走りのみを追求した究極のEVは今後増えてくるのでしょうか?

 すべてをこだわり抜いて作った、EVハイパーカーやスーパーカーの登場に期待が高まります。

EVちゃんねる の YouTubeでは動画でリマック・ネヴェーラの各所を詳しく説明しています。

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