魅力に乏しい一国のトップが「冷めたピザ」と揶揄されたのは、もう四半世紀も昔のこと。いまや「冷めたピザ」そのものが存在し得ない未来が、やってきそうです。
アメリカ発祥の宅配ピザの最大手「ドミノ・ピザ(Domino’s Pizza, Inc.)」は、2023年11月、新しい配達用電動アシスト自転車「フューチャーバイクdxb※」を発表しました。といっても、宅配ピザのデリバリーに電動自転車が採用されることは、なにも目新しくはありません。では、このSF映画から飛び出してきたようなデザインに何か秘密が? 確かに、走行中に車輪が光る自転車は夜間配達の安全性を高めるだけでなく、見た目にもとてもクールです。が、注目したいのはそこではありません。
※dxb=デリバリー・クロスオーバー・バイク
この「フューチャーバイクdxb」が次世代型といわれる理由は、後部のピザポッド。なんとこのピザポッドの内部には、収納されたピザを常時68度の高温に保つ温度調整機能ほか、鮮度を保つ強制換気システムが搭載されています。したがって、もし悪天候や渋滞などで30分以内の配達がかなわなかったとしても、いつでも「できたてアツアツ」が届くというわけです。
さらに、この “移動式オーブン”といえるピザポッドには、「宇宙時代のサスペンション」と呼ばれるシステムも搭載されています。電動自転車によるデリバリーで問題となるのは、坂道やデコボコ道、縁石や溝など、ピザに与える衝撃です。そこで、ピザポッド内部の重力を67%カットするショックアブソーバー・システムを内蔵し、ピザを快適な状態で配達できるようにしました。環境負荷の低減に努めつつも、「焼きたて」の品質と味に徹底してこだわる同社の姿勢がここにも表れています。
ドミノ・ピザは、フードデリバリー業界の中でもデリバリーにおける脱炭素化に積極的に取り組み、そのデリバリー手法においてもドローン(オーストラリア)や自立走行式配達車(米国)、ジェットパックによる配達(英国)など、さまざまな試みにチャレンジしてきました。
今回の「フューチャーバイクdxb」がいつ導入されるかは未定ですが、現在、日本をはじめ、オーストラリア、ニュージーランド、ベルギー、フランス、オランダ、ドイツ、ルクセンブルク、台湾、マレーシア、シンガポール、カンボジアの12の国と地域で検討されています。
ちなみに、「フューチャーバイクdxb」の世界同時披露を記念して、現在日本のドミノ・ピザでは、伝説のおトク企画「Lサイズピザを買うとSサイズピザ2枚無料!」をデリバリー限定で常時利用できるようになっています。
出典:Domino’s Pizza, Inc.
メインカットは、2023年11月に発表されたドミノ・ピザの次世代型デリバリー用電動自転車「フューチャーバイクdxb」(写真:Domino’s Pizza, Inc.)