2019年11月にテスラ社がサイバートラックを発表し、その斬新すぎるフォルムに世界が度肝を抜かれてから約4年。ようやく2023年11月30日からの納車開始が明らかにされ、アメリカ南部テキサス州の工場”ギガ テキサス”でイベントが行われる予定です。このステンレス製のカクカクとしたピックアップトラックの納車が待たれる中、10月7日、ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館で開催された第29回ガラ・イベントでは、初代サイバートラックがオークションに出品され、なんと40万ドル(約6000万円)で落札されました。
2019年の発表以降、サイバートラックの先行予約件数は約200万台超あるといわれています。ですが、実際の購入及び納車は2024年初頭以降とアナウンスされていたため、今回の落札が史上初のサイバートラックの「販売」になったといえるかもしれません。
高額なのは、2024年型初代サイバートラックの落札価格だけではありません。アメリカの著名なコメディアンであり、司会者のジェイ・レノ氏がホストを務めたこのオークションの参加費もなかなかなもの。参加するためには、少なくとも1席1750 ドル(約26万円)のチケットが必要で、テーブルなら 17500 ドル(約260万円)、プレミア・テーブルともなれば3万ドル(約450万円)という高値でした。
Inside EVs.com によれば、ガラ・イベント期間中、ピーターセン自動車博物館にはオークション等で250万ドル(約3億7375万円)が集まり、これらの資金は博物館の運営や教育活動の支援金にあてられるといいます。
一方、初代サイバートラックの40万ドルでの落札と、先行予約が200万件超えというニュースを受けてのことか、現在、予約所有権を高額でeBayなどに売却する動きも出てきています。すでに200万件以上の予約が入っているサイバートラックは、今購入を希望しても納車されるまでに3年から6年ほど待たされる可能性があるからです。
サイバートラックの予約には100ドル(約1万5000円)のデポジットがかかりますが、購入キャンセルはいつでも可能で、デポジットも全額返金されることになっています。そのため、こうした予約所有権の高額な転売について、テスラ社はなんらかの対策を講じる必要がありそうですが、現在のところ同社は静観しています。
2019 年のサイバートラック発表後に作成されたコミュニティ運営のGoogleスプレッドシートの予約状況データ(記事執筆時)によれば、推定価格と予約の割合はシングル 4万9900ドル(約750万円)が8.1%、デュアル 5万9900ドル(約900万円)が44.1%、トライ 7万9900ドル(約1200万円)が39.2%、クワッドモーター 9万9900ドル(約1500万円)が8.6%で、1番人気はデュアルモーター、続いてトライモーターとなっており、200万超の予約のほとんどがこの2つに集中しています。また、予約件数の70%近くがFSD=完全自動運転 7837ドル(約120万円)の搭載を追加しています。
したがって、これらを推定価格で総計すると、1548億4000万ドル(約23兆2220億円)となり、テスラ社にとっては誰が購入しようと、これだけの潜在的な収益が見込まれているといえます。また今のところ、この熱狂的な需要も高まりこそすれ、減退するような要素は見当たりません。サイバートラックをめぐっては、2024年にさらなる話題を提供してくれるに違いなく、その動向にますます目が離せないことでしょう。
メインカット:ピーターセン自動車博物館に展示されている2019型サイバートラックのプロトタイプ
ピーターセン自動車博物館公式サイト
出典:
TESLARATI