トヨタの欧州法人、トヨタ モーター ヨーロッパ (TME) は、2023年12月4日にベルギーのブリュッセルで開催されたトヨタのケンシキフォーラムにおいて、2035 年までに100%カーボンニュートラルを実現するための方向性を発表。TMEの中田吉宏社長兼最高経営責任者(CEO)は「当社は今後も複数の炭素削減技術を提供していく一方、顧客に提供するZEM (ゼロエミッション車)の台数も着実に増やしていく」と述べました。
欧州では、2023年12月現在でトヨタの電動化比率はすでに71%に達しており、2024年には75%に増加するとも予想されています。また、2026年までにTMEはトヨタブランドにおいて乗用車から小型商用車まで約15種類のZEVを提供する予定で、その時点でトヨタの欧州におけるBEV比率は20%以上、年間25万台以上になると予想されています。
その中でもゼロミッションへの大きな役割を担うのがトヨタが主に欧州で商用車を展開する「プロフェッショナル」シリーズです。同シリーズは、今回、アップデートされた「プロエース」と「プロエース シティ」の小中型商用バン等で展開されていましたが、バッテリー電動オプションがついたTME初の大型商用バン「プロエース マックス」を追加、同シリーズのEV化ライアンアップが完成したといえます。これらのバンには、すべてバッテリー電動パワートレインのオプションが付いていて、発表された「プロエース マックス」の航続距離は 420km (WLTP) です。
新しい「プロエース マックス」は、幅広い寸法で利用できるため、ユーザーはニーズに合わせて最適なサイズを選択できます。フルバン形式では、3450 mmと4035 mm の2つのホイールベース オプションに基づいて、3つの異なる長さ (5413 mm、5998 mm、6363 mm) と3つの高さ (2254 mm、2524 mm、2764 mm) の合計6つの異なるサイズが用意されています。これにより10 m3から 17 m3までの広々とした荷室容積が得られ、ユーロパレット(欧州の物流基準となる木製パレットで標準的なサイズは1200×800mm)5 個分の余裕のある広さが得られます。
「プロエース マックス」は、サイズ構成に応じて、可搬重量 1500 kg 、牽引能力 2400 kg となっていて、このクラスのバンをリード。また、積み降ろしは、フルハイトのドアと幅 1562 mm、高さ 2030 mm までの実用的な正方形の開口部のおかげで敷居が低く、簡単に積み下ろしができます。トヨタ車では初めてドアが 270 度開くことで縁石側の積載スペースとキャビンへのア積み込みを最大化。スライド式サイドドアはユーロパレットを積載するのに十分な幅の1250mm まで開きます。
「プロエース マックス」が追加される「プロフェッショナル」シリーズは、現在でも強い勢いを持っており、2023年の販売台数は2022年比+20%以上の14万台以上と予想されています。
このように欧州で動きが活発になり始めているEV商用車は、今後、世界的なEV普及を牽引する存在になりそうです。