関西電力を含む55社は2024年6月10日、電気自動車(EV)向けにワイヤレス給電の普及を目指す「EVワイヤレス給電協議会」を設立。産官学が連携し、EVワイヤレス給電の制度化・標準化・事業化・社会実装・普及活動などに努めていきます。
ワイヤレス給電とは、電源ケーブルなどを使わず、地上側のコイルとEVに装着したコイルとの間に電磁誘導の原理で電力伝送する給電方法。駐車場などに停車している車に充電する「SWPT」と、道路に送電コイルを敷設することで走りながら充電する「DWPT」という2種類のシステムがあります。
「EVワイヤレス給電協議会」は、これらのワイヤレス給電を実用化させるべく、2024年4月に関西電力、ダイヘン、シナネン、三菱総合研究所、ワイトリシティ・ジャパンの幹事会社5社によって発足。今回の設立では、東京理科大学の堀洋一教授を会長に、自動車メーカー、ゼネコンなど50社が正会員、19の団体がオブザーバーとして参加しました。
協議会の発足に携わった関西電力は、すでにワイヤレス給電の実証実験を進めており、変電気等に強い電気メーカーのダイヘンは15kWのEV用ワイヤレス急速充電システムを製品化しています。また、エネルギー会社のシナネンは、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ企業の日本法人としてワイヤレスの最先端技術を有する幹事会社のワイトリシティ・ジャパンの日本展開を進めてきた企業。これら日本のワイヤレス給電開発を牽引してきた企業が中心となり、協議会は活動を推進していくこととなります。
また、正会員には、ホンダ、マツダ、三菱自動車、BYDなどの自動車メーカー、アイシンのような自動車部品メーカーやEVバスメーカー、インフラ構築を担う大林組、大成建設といったゼネコン、不動産メーカーと共に東日本高速道路、EV充電事業者、損害保険会社など様々なジャンルの企業が参画。
オブザーバーには、制度設計や標準化に関わる経済産業省の製造産業局、国土交通省の物流・自動車局と道路局、環境省の水・大気環境局モビリティ環境対策課や、日本国内のワイヤレス研究の先端を担う大学研究室などの組織が名前を連ねています。
「EVワイヤレス給電協議会」は、SWPTとDWPTの両方のシステムについて普及活動を進めていく予定。2026年度を目標としてSWPTの機器を公的に認証できる仕組みを作り、30年までにEVワイヤレス給電を普及させていく計画です。
EVワイヤレス給電協議会
幹事会員
関西電力、ダイヘン、シナネン、三菱総合研究所 、ワイトリシティ・ジャパン
正会員
IHI運搬機械、アイ・グリッド・ソリューションズ、アイシン、旭化成、UPDATER、荒川化学工業、アルファバスジャパン、EVモーターズ・ジャパン、エナリス、OSTL、大阪エムケイ、大林組、カメイ、コスモ石油マーケティング、島田理化工業、新電元工業、鈴与商事、スミダ電機、住友商事、住友商事マシネックス、セルコ、センコー、センコー商事、損害保険ジャパン、大成建設、大日本印刷、タツタ電線、タツノ、Terra Charge、東京センチュリ―、東光高岳、東北電力、東レ、豊田合成、長谷工コーポレーション、ビーワイディージャパン、東日本高速道路、ヒロテツ工業、フジタ、芙蓉総合リース、本田技研工業、マツダ、三井住友ファイナンス&リース、三菱地所コミュニティ、三菱自動車工業、三菱商事、明電舎、モリタホールディングス、REXEV、YKアクロス (50社、50音順)
オブザーバー
大阪府、環境省 水・大気環境局 モビリティ環境対策課 脱炭素モビリティ事業室、キャパシタフォーラム、京都大学、経産省 製造産業局 自動車課 自動車戦略企画室、国土交通省 道路局、国土交通省 物流・自動車局 技術・環境政策課 環境基準室、次世代自動車振興センター、自動車技術会、芝浦工業大学 先進電源システム研究室、全日本トラック協会、電気学会、学校法人 小山学園 、東京工科自動車大学校、東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室、長岡技術科学大学、長岡技術科学大学 先進エネルギー変換研究室、国立大学法人 名古屋工業大学、名古屋大学 パワーエレクトロニクス研究室、阪神高速先進技術研究所(19団体、50音順)
メイン写真:「EVワイヤレス給電協議会」設立に関するプレス発表会の様子
左から:三菱総合研究所 羽生哲也執行役員、ダイヘン 蓑毛 正一郎社長、堀洋一教授、関西電力 槇山実果執行役常務、シナネン 渡邉雅夫社長、ワイトリシティ・ジャパン 岡田朋之社長