英国のエレクトロジェニック社は、デロリアン専用の電動コンバージョンキットを発表しました。
イギリスのオックスフォードに2018年に設立されたエレクトロジェニック社は、最新技術によってクラシックカーをオーダーメイドの電気自動車に改造するレストア専門会社です。同社はエンジン車を完全電気駆動にするために必要なものがすべて含まれた、「ドロップイン」キットも製造・販売しています。
過去にもクラシックミニや、ポルシェ911、ランドローバーシリーズ、ランドローバーディフェンダー、ジャガーEタイプなどの懐かしい名車のEVコンバージョンキットを製造してきました。
そして今回、エレクトロジェニック社が発表したのが、デロリアンDMC-12用の、切断、溶接、穴あけ不要のドロップインキットです。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場し、過去と未来を行き来するタイムマシンとしてスクリーンで大活躍したデロリアンDMC-12は、1981年に米国のデロリアン・モーター・カンパニー(DMC)が製造・販売したスポーツカーです。
創業者ジョン・デロリアンの発想のもと、イタルデザインに所属していたジウジアーロが車体をデザインし、ロータス・カーズが機構面の設計を担当。ガルウイングドアを持つシルバーのボディと近未来的なデザインが話題を呼びました。
1982年12月までの約2年間で、デロリアンDMC-12は推定8975台が製造され、うち6500台ほどが現存すると言われています(数値はWikipediaによる)。
今回のEVコンバージョンキットでは、燃料タンクの代わりに、フロントラゲッジコンパートメントの下、リアモーターの上に43kWのバッテリーが取り付けられます。これによりDMC-12は、160kWの馬力と310N・mのトルクを手に入れます。EVコンバージョンモデルは、オリジナルのV6エンジンDMC-12より約40kg重くなりますが、完全な電動パワートレインによって、0-60mphの加速を10秒以上から5秒まで短縮することに成功しました。
その他、このデロリアンには、回生ブレーキ、エコモード、スポーツモード、Apple CarPlay、強化されたエアコンなどの機能が追加されています。また、CCS急速充電にも対応可能で、航続距離は240km強、V2L機能も搭載されています。
米国のインターネットメディアのエレクトレックによると、エレクトロジェニック社のドラモンドCEOは、デロリアンDMC-12のBEV化についてこう語っています。
「ジョン・デロリアンが40年以上前にDMC-12の製作に着手した時、彼は持続可能で時の試練に耐えうるスポーツカーを作ろうと決意しました。したがって、EVコンバージョンは完全に理にかなっていて、プロジェクトの精神と一致していると感じられます」
デロリアンのボディはステンレススチールです。そして、テスラのサイバートラックもまた、ステンレススチールです。この2台のステンレススチール製EVが、映画で共演する日も近いかも知れません。
写真:エレクトロジェニック公式X 公式HPより