電動革命の波に乗る! EV株投資の秘訣 第12回
by じんべい
米国EVメーカー、リヴィアンへの投資で知っておきたいこと
こんにちは。じんべいです。普段テスラ株に関する情報発信をしていると、「じんべいさん、テスラ以外におすすめのEV株はありますか?」とよく質問されます。ですので今回はテスラ以外の注目EV銘柄リヴィアンについて銘柄の解説を行い、最後にじんべいは今後リヴィアンに投資することはあるかどうかお伝えしていきたいと思います。
リヴィアンとはどんな会社か?
EVcafeをフォローされている読者の皆さんはリヴィアンについてよくご存知の方も多いと思いますが、改めてリヴィアンとはどんな会社か、またリヴィアン株は株式市場においてどんな立ち位置にいるのか見ていきたいと思います。
リヴィアンは正式名称をリヴィアン・オートモーティブといいます。同社は電動ピックアップトラックやSUVの製造を専門とするアメリカの電気自動車メーカーであり、持続可能なモビリティを推進し、独自の電動プラットフォームを開発しています。また、ECコマースで世界的な大手Amazonとの提携により、電動配送車の生産も手掛けていることでも有名です。
しかし、リヴィアンは米国EV老舗メーカーとして、テスラとライバル視されながらも、ラインアップの少なさと高額な価格帯によって一般への訴求力が弱いため販売が拡大せず、近年は投資家が期待するような業績を出せていません。株式市場へ上場した当時、EV投資ブームによりリヴィアンは非常に高い株価を記録しました。リヴィアンは2021年11月10日にNASDAQ市場に上場し、それから1週間ほどで株価は史上最高値の172.01ドルを記録しています。
しかし、EVブームが去り、世界的なインフレにより原材料費の高騰が起こり、FRBによる高金利政策でEVに対する需要が減るとリヴィアンの業績もまた株価も低迷します。現在のリヴィアン株価は14ドルと上場後につけた最高値179ドルから12分の1ほどになっています。
ただ過去1年の株価チャートを見てみると、今年の4月下旬に株価は底を売った感があり、これからFRBによる利下げ実施もほぼ確定的なことから、ハイテク銘柄のリヴィアン株は今後上昇していくことが期待できます。
じんべいはリヴィアンに投資する?
じんべいは現在テスラとNIOを中心とした米国株ポートフォリオを組んでいますが、今後リヴィアン株を組み入れることはあるのか、私の現在の考えをお伝えしていきたいと思います。
じんべいの成長株投資における判断ポイントはざっくり言うと以下3点です。
①リヴィアンは売上を大きく拡大できるか?
②リヴィアンは利益をいつ出せる?
③リヴィアンはマルチバガーが期待できる銘柄か?
では、この3つのポイントについて順に解説していきましょう。
①リヴィアンは売上を大きく拡大できるか?
まず一つ目のポイントについてですが、何倍ものリターンを狙う成長株投資を実践する上で、投資先の企業が今後売上げを大きく拡大させることができるかどうかが非常に重要です。リヴィアンの過去の売上高の推移を見てみると、次のようになっています。
左が年毎の売上高(緑のグラフ)と利益(青のグラフ)の推移、一方で右が四半期毎のものです。年毎の売上高は成長企業に見られるような毎年倍増という力強い増加を示していますね。しかし、直近の四半期ベースの売上高は停滞しています。過去1年では2023年の第3四半期をピークに売上高が若干ですが右肩下がりとなっています。昨年までは販売台数が拡大し、売上がよく伸びていましたが、今年は厳しい状況が続いていますね。今後売上高を増加させるには、今年残りの2四半期、第3四半期と第4四半期に販売台数と売上げを大きく伸ばす必要があります。ですが、米国経済とリヴィアンの経営状況を見てみると、すぐに業績を回復させることはかなり厳しいと思います。じんべいとしては、状況が大きく好転するのは来年以降だと見ています。
②リヴィアンは利益をいつ出せるか?
上記チャートの青色のグラフが利益の推移を示していますが、現在リヴィアンの株価が低迷している最大の原因は、リヴィアンが損失を抑えきれてない点にあります。リヴィアンは8月6日、2024年第2四半期の決算を発表しました。最終損益は14億5700万ドルの赤字となりました。前年同期の11億9500万ドルと比較して、損失が拡大した格好です。リヴィアンのQ2決算書を読んでみると、次の3点が赤字拡大の要因とされています。
1. 製造コストの上昇:工場の再設備投資に伴う生産ラインの効率低下により、労働力やオーバーヘッド、減価償却費の吸収が効率的でなくなった。
2. 平均販売価格の低下:第一世代のR1車両の在庫を処分する過程で、販売価格が下がり利益率が圧迫された。
3. 加速された減価償却費:工場のアップグレードに伴う設備の減価償却費が一時的に増加した。
またQ2決算書では、第2世代のR1車両を生産するイリノイ州ノーマル工場の生産ラインの効率が改善されたことで、R1の製造コストが削減され、全体の生産効率が約30%向上することが期待できると述べています。また、リツールアップグレードによって、材料コストも大幅に削減されたようです。
リヴィアンの今後の損失縮小と利益拡大の見通しとしては、まずは第2世代R1車両の導入による製造コストの削減と生産効率の向上が予測されています。また、同社のスカリンジCEOは工場改修によるコスト削減は、主に下半期に実現するとし、第4四半期に初の黒字化を果たす目標を掲げています。もしこれが実現されれば、リヴィアンの株価上昇が期待できます。
リヴィアンは2026年により小型なR2を市場投入予定です。R2の基本モデルの価格は「およそ」4万5000ドル(約650万円)で、航続距離は300マイル(約483km)になるといわれています。これは明らかにライバルとなるテスラのモデルYを意識して、価格帯をモデルYの水準にまで引き下げたということだと思います。
さらにリヴィアンは、小型R2投入後、より購入しやすい価格のR3とR3Xの発売も計画しています。新たに発売されるリヴィアンのより小さくて、より手ごろな価格の新モデルで経営危機から脱却し、売上アップ、利益増を達成できるかが今後の焦点となります。
③リヴィアンはマルチバガーが期待できる銘柄か?
じんべいが成長株投資をする際に重要視しているポイント3つ目は、投資する銘柄がマルチバガー(株価が何倍にも成長すること)を期待できるかどうかです。じんべいは2020年にテスラ株を50ドルほどで大量に取得することができ、資産を増やすことができました。パンデミック拡大の影響で相場が崩れた時にテスラ株を安値で買うことができたことが、その後にテスラをマルチバガーできた最大の要因です。
先述したようにリヴィアン株は現在14ドルほどで、史上最高値の172ドルから12分の1程度にまで下落しています。ですので、株価的には非常に買いやすい状況にあると言えます。下記が27人のアナリストが設定するリヴィアンの目標株価です。
今後12カ月以内に平均17ドルにまで株価が上昇する予想となっています。ちなみに一番高い目標株価は30ドル、一番低い価格は10ドルです。全体的なコンセンサスとしては27人中、過半数を超える15人のアナリストがアウトパフォーム(株式が市場全体や業界平均を上回る成績を収めると予測)としています。
結論として、これらの現状を踏まえてじんべいがこれからリヴィアンに投資するかどうかというと、少額であれば投資してみようかなといった感じです。その理由としては、リヴィアンの株価は魅力的な水準ではあるものの、
1. 北米EV市場の競争は激しく、最大のライバルであるテスラが今後モデルY改良版やモデル2を投入することによって、リヴィアンの業績が悪化する可能性がある。
2. リヴィアンは経営改革の過渡期であり、まだ赤字体質から脱却できていない。CEOが言うようにQ4で黒字化できたら、本格的な投資を検討したい。
この2点が本格的にリヴィアン投資にまだ踏み切れない理由です。とはいえ、リヴィアンは非常に魅力的なEVを作る企業であり、今後市場投入予定のR2やR3シリーズはリヴィアンの販売拡大、業績回復においてキーとなる製品であることは間違いありません。じんべいは少額をリヴィアンに投資してみて、今後の業績拡大、株価アップを期待したいと思います。
本記事では、あくまでじんべいの株式投資の考え方、実践方法を共有させていただいたまでなので、リヴィアンへの株式投資を推奨するものではありません。投資は自己責任として、最終的な判断は必ずご自身で行っていただくようお願いいたします。
トップイメージ:2Q24 Rivian Shareholder Letterより
文・じんべい
日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約1万7000人。 X(Twitter)フォロワー数:約8000人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。