ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズ社とゼネラルモーターズ(GM)傘下の自動運転車開発企業クルーズは、複数年にわたる戦略的パートナーシップを結び、ウーバーのプラットフォームにおいて自動運転車(ロボタクシー)によるライドサービスを展開することを2024年8月に発表しました。
両社は2025年からロボタクシーサービスを開始する計画で、シボレー・ボルトEVをベースとしたロボタクシーを一定数投入する予定です。サービス開始後、ウーバーアプリを通じて乗車をリクエストしたユーザーに対し、クルーズのロボタクシーによる配車オプションが提示されることになります。
今回の提携は、2023年10月にサンフランシスコで発生した事故により、クルーズが自動運転車の運用を停止して以来の大きな動きとなります。当時の事故では、人間のドライバーが運転する車に最初に衝突された歩行者が、その後クルーズの無人車両に20フィート(約6メートル)引きずられるという事態が発生しました。この事故を受けて、連邦および州の規制当局による調査が行われ、クルーズの経営陣の大規模な退陣や従業員の大量解雇につながりました。
しかし、今回の提携発表により、クルーズがロボタクシー事業の再開に向けて動き出したことが明確になりました。クルーズの新CEOであるマーク・ウィッテン氏は、「クルーズは自動運転技術を活用して、より安全な街路を作り、都市生活を再定義することをミッションとしています。ウーバーとのパートナーシップにより、安全で信頼性の高い自動運転の恩恵をより多くの人々にもたらし、新しい都市モビリティの時代を切り拓くことができると期待しています」とコメントしています。
一方、ウーバーのCEOであるダラ・コスロシャヒ氏も、「世界最大の移動・配送プラットフォームとして、ウーバーは自動運転技術を消費者や都市に安全かつ確実に導入する上で重要な役割を果たせると考えています」と述べ、この提携に対する期待を表明しました。
ウーバーにとって、自動運転車との提携は今回が初めてではありません。同社は以前、自社で自動運転技術の開発を目指していましたが、2018年のアリゾナ州での死亡事故を受けて断念。その後、グーグルの姉妹会社であるウェイモと提携し、アリゾナ州でロボタクシーサービスを提供しています。
クルーズは現在、フェニックス、ダラス、ヒューストンで安全運転手付きの自動運転車テストを実施しています。同社の広報担当者によれば、今回のウーバーとの提携発表にもかかわらず、クルーズは引き続き自社のアプリを通じたロボタクシーサービスの再開に注力しているとのことです。